男の友情物語が少女マンガでもいいじゃない！

この表紙とタイトルを見て、これが別冊マーガレット連載の少女マンガだと思う人は少ないのではないでしょうか。「マンガ大賞2013」では5位、「第1回マンガ秋100」と「このマンガがすごい！ 2013」オンナ編では堂々の1位に輝いた話題作です。

この作品は、男の友情物語です。少女マンガなので、女の子目線から見た「ああ、男の子の友情って、いいなあ」という話だと言い換えてもいいかもしれません。主人公の猛男は柔道部の偉丈夫で、角刈りゲジゲジ眉毛の暑苦しい男です。親友の砂川は対称的に、スラッとしていて美形で髪型も今風なモテ男です。小さい頃から仲のいい2人はいつも一緒につるんでいます。猛男が好きになる女の子はみんな、砂川に惹かれて告白をします。しかし砂川は彼女たちを、片っ端から振るのです。その理由は後ほど明かされます。

「友達の悪口いう女とつきあいたくなくね？」

猛男が好きになった女の子はみんな、カゲで彼の悪口を言っていたのです。でも砂川は、猛男がいいやつだということを知っています。友達が幸せになるのが嬉しい、それがフツーだと言い切ります。電車の中で痴漢に遭っていた女の子を助けた猛男に、女の子は一目惚れして家までお礼に来ます。ところが猛男は鈍いので、いつものように砂川に惹かれているのだろうと勘違いし、砂川とくっつけてやろうとあれこれ骨を折ります。ほんとうに猛男はいいやつです。そして砂川もいいやつです。実は両思いなのにすれ違ってしまっている2人を、砂川がくっつけてやるのです。ああ、麗しき男の友情。

猛男も砂川も、外見はともかく内面がカッコイイんですね。どこまでも真っ直ぐ。どこまでも一生懸命。自分のことより、他人のことを優先するのです。真っ直ぐすぎて、空回りしちゃってる姿には思わず笑ってしまうのですが。こんなカッコイイやつ、なかなかいないようなあ…と思いつつ、一生懸命ドタバタする猛男の姿に惚れてしまう女の子も、きっと多いはず！？