マンガ版『秒速5センチメートル』の作者による、真正面から「死」を描いた幽霊物語【アフタヌーン四季賞大賞受賞作】

小説・エッセイ

2013/11/19

まじめな時間(1)

ハード : PC/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:清家雪子 価格:525円

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本作の『まじめな時間』は、漫画家の谷口ジロー先生に「切ないけれど、けっこう愉快な霊界ファンタジー。これは必読ものです。さすが四季賞。すごいんだなあ。」と言わしめました。『秒速5センチメートル』のコミカライズを手がけた清家雪子先生の初のオリジナル連載作品でもあります。突如事故により命を落として幽霊になってしまった女子高生と、その死に戸惑う「現代的」な反応をする周囲の人間描写は必見です。

植村一紗(うえむら かずさ)は普通の女子高生。両思いらしき男の子と付き合うのもそろそろ秒読みかも、といった平凡で幸福な人生を送っていました。けれどそんな幸福を不運な事故によって奪われた一紗は、「魂の冷却期間」「人生のロスタイム」として幽霊ライフを送ることに。死を受け入れられない一紗は、誰か視える人がいないかと友人や家族に片っ端から声かけを試みるも、うまくいきません。

自分が入った柩の上に正座して弔問客を眺めてみたり、泣き崩れる友人たちの隣で名前を呼んでみたりする様子は痛ましい限り。友人たちは突然の一紗の死に感情の整理の仕方が分からず、一紗の好きな歌を歌ってお別れ会をしようとなんとカラオケへ。友人たちは真剣に一紗を思って泣きながら歌うのですが、彼女自身は「自分の死がイベントになっている」ような気がしてどうにもモヤモヤしてしまいます。

そんなある日、一紗はひょんなことから両思いだと思っていた男の子には実は別に好きな人がいたことを知ってしまいました。相手を見に行きついつい嫉妬のままに睨みつけていると、突如振り返る女子生徒。実は彼女、弱めながらに霊感少女で…

一紗は自分が死んでから家族への愛情を思い知りました。心労により母が倒れ、そんな母を叱咤しつつも一人で泣き出す弟を見て「生まれて初めて あんたの頭なんか撫でたくなったのに」「死んでからわかったって どうにもなんないじゃんね」と嘆く様子はとても切ない。そして一紗の死を受け入れられない母のために彼女が取った行動は…という、ばっちりすぎる引きで1巻が終わってしまいます。2巻からは『サマーウォーズ』なみに愉快な幽霊仲間を大勢巻き込み走り回る、楽しい展開が見れます。そして母と一紗の着地点は清々しい涙を流すこと間違いなし! 2巻セットで購入して、一気読みをオススメしたい作品でした。


始まりは、自分の死体とコンニチワ状態の一紗の混乱から。信じられないけど信じるしかない状況

とても良い笑顔のとなりで困惑顔の一紗。写真とのギャップが未だに死を受け入れきれない彼女の心境をよく物語っています

お別れ会にカラオケへ行こうとなる友人一同。なんでそうなるの!? と一紗は理解に苦しみますが、友人たちはいたって本気