嘘から始まった気持ち…切ないすぎる関係性の果てにあるものは

小説・エッセイ

2011/10/12

百瀬、こっちを向いて/I LOVE YOU

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 祥伝社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:中田永一 価格:108円

※最新の価格はストアでご確認ください。

女の嫉妬は怖い、なんてよく言われるけどそれはきっと男性目線じゃないかなって思うのです。

生田は1人っ子ってこともあり、どっちかって言うと嫉妬深い。
兄弟に何かを奪われたりする経験をしてないわけだからね、全部1人締めなわけですよ。

でもね、そんな生田は”女の嫉妬”より怖いのは、その嫉妬をすべきところで嫉妬心を全くあらわにせず、そ知らぬ顔をしている人のほうだと思う。男性にとってはそんな有り難い女性はいないだろうし、嫉妬で怒り狂う女性の方がやはり怖いのだろうけどね。

今回読んだストーリーには、この生田的に怖い女性が登場する。容姿端麗でまるで桜の花のような、学校中みんなが憧れるような女性、神林徹子。一見無邪気な子どものように純粋そうで…、しかし全てを知っていながら嫉妬をみせず、子どものように何も知らないフリを続ける女性。

…怖すぎるわっ。

けれどこの物語の主人公はこの女性ではなく、相川君というとても存在感の薄い男の子。
教室の隅でひっそりと過ごす、間違っても物語の主人公にはならないような…その彼が、美男美女カップルの男の方、宮崎先輩の浮気相手”百瀬”の彼氏のふりをさせられるというストーリー。もちろんこのカップルの女のほうは先ほどあげた神林徹子。物凄く卑屈で、根性もなく、存在感の薄い主人公が、彼氏のふりをしているうちに次第に野良猫のような自分とは正反対の性格の百瀬に惹かれ、葛藤する様がなんとも切ないです。

物語が終わった後もこの2人の続きをもっと見ていたいなと思わせてくれる作品。それぞれ登場人物のキャラクターがもの凄く個性的なので、それぞれの立場を考えて読むといろんな読み方が出来てとても面白い作品だと思います。そして短編なので、読み終わるまであっという間です。

神林徹子は怖いけど…とても男性受けがいい女性だと思います。”女の嫉妬は怖い”とか言われないように作品を読み返して見習おうと思います(笑)


宮崎先輩に憧れる主人公。だからあんな無茶なお願いを断れなかったんでしょうね

そんなに卑屈にならなくてもと、主人公の自己評価の低さを思わせるセリフ

人間レベルを自己評価してしまうあたりに主人公の性格が良く出てると思います