周りの意見やデータは意味がない!? 「自分の頭で考える」本質直観とは?

公開日:2014/4/9

「本質直観」のすすめ。―普通の人が、平凡な環境で、人と違う結果を出す

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 : 東洋経済新報社
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:Kindleストア
著者名:水越康介 価格:※ストアでご確認ください

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 このビッグデータ時代、データさえあれば消費者の行動履歴や購買履歴などを利用して、マーケティングに使うことが多くなりました。例えば、リコメンド広告の技術が発達して、その人の個人情報にあった広告が出るようになっていて一種の気持ち悪さを感じる人も多いでしょう。まさにビッグデータ万能時代の到来です。当然、商品開発の分野でもビッグデータ活用は進んでいて、マーケティングリサーチの世界でもMROC(マーケティングリサーチオンラインコミュニティ)などオンラインの世界の手法が利用されはじめました。

 ところがです、ちょっと考えてみてください。商品開発をしている現場では「データの通りに売れたためしなんてこの十年一度もないではないか…」。そうです。もともと、顧客の声を聞いて商品をつくってもヒットする商品は生まれなかったという経験はありますよね。データ量が増えたところで、それは一緒ではないでしょうか。また仮に答えを引き出そうとしても大変な時間と労力が必要になります。

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 本書では、この時代だからこそ「本質直観」という哲学用語を使い、「答えは外部になく、もっているとすれば自分だけ」という自分で考えることの重要性を説いています。そして、社内において商品開発の議論でデータを活用した「顧客のためという言葉が、ただただ相手をねじ伏せる道具として利用される」という危険性を指摘しています。商品開発を真剣に考えることよりも、社内説得のためにデータを使ってしまうことがままあるということです。外部のリサーチ会社に頼んだ分析結果にそのまま乗って、「このようなデータがでていますから」ということで社内を説得して商品開発をすすめ、本当に自分の頭で考えることをしていないマーケッターは数多くいるのではないでしょうか? 失敗しても言い訳が効くのもデータの効用かもしれません。

 自分の頭で時間をかけて、答えを探す努力を本書では推奨しています。次世代のマーケティングのヒントはこの延長上にある予感がします。


最初の直感を正しい形で疑えることができますか?

本質直観とはもともと哲学の言葉。ちなみに著者の水越先生はマーケティングがご専門の経営学者です

スティーブ・ジョブズはマーケティング・リサーチをしなかったことで知られています

ソーシャルメディアからの情報が商品開発に役に立つ?