迷いに迷って、やっぱり買ってしまったものの…。笑いながらも激しく共感する衝動買いの顛末記

小説・エッセイ

2011/3/29

衝動買い日記

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 中央公論新社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:鹿島茂 価格:432円

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仏文学者の鹿島茂さん、屈指の知識人だけど、どこかそこはかとなくオバさんの香りがするなと思っていましたが、やはり…。

いやあ、安心しました! 私と同類だわ。

体脂肪計に腹筋マシーン、時計、財布、トランクス、猫の家、サングラス、男性用香水などなど、ああだこうだと考えた末、やっぱり買ってしまった全24アイテム。安物買いの銭失いの見本もいっぱいあって、笑えます。

冒頭を飾るのは腹筋マシーン。

ほら、深夜のTV通販番組でよく宣伝している類のアメリカ製エクササイズマシーンです。ちょっとデバラが気になる先生は科学的な理論に洗脳されて電話しそうになるものの、値段の高さでなんとか衝動買いを踏みとどまります。ところが似たものが近所のスーパーで3900円で売っていた! これにはもはや耐えることができず、即、ゲット。家族の顰蹙をよそに、さっそくトレーニングを開始したものの、腰にギクッと鈍痛が…。かくして世の習い通り、書斎の粗大ゴミに成り果てたそう。私は同じく仕事部屋の片隅に埃をかぶって転がっている鋼鉄製の足踏みマシーンを見やって、激しく共感したのでした。

そんなおかしみのある買い物の顛末記。買おうか買うまいか悩みに悩んだ過程や、正当化するための理屈、買った結果などが、ボードレールの詩を引用するなど、無茶ブリな知性を織り交ぜながら独り言のように書かれていて、インテリジェンス全開の言い訳に、くだらない買い物ほどおかしみがあります。

衝動買いしてしまったアイテムを見ていると、著者の生活や好み、悩みがそこから浮かび上がってくるみたいでおもしろい

ごろねスコープやヴィンテージワインなど、くだらないもの、高いものほどペーソスがあって笑えます

あとがきには「本書が『買い物』を愛してやまない男たちの心の糧にならんことを」とありました