「ミス・ユニバース・ジャパン2016」ビューティキャンプ講師が教える、健康美人をつくる食習慣
2017/7/13

美容やダイエットにいい食べ物と聞いて、いったいあなたは何を思い浮かべるだろうか。SNSを頻繁に利用する人であれば、色とりどりのスムージーやチアシード入りのドリンクといったフォトジェニックで、いかにもおしゃれ感の漂う食事やスイーツの写真を定期的に投稿しているかもしれない。
もしこれが味噌汁と玄米、きんぴらごぼう、焼き魚、といった献立だったらどうだろう。主食からおかずまでほとんど茶色ばかり。フォトジェニックとは到底言えないような見た目である。これでは地味すぎて、多くの人から「いいね」をもらえることはないと思うのだ。
だけど見た目のおしゃれ度と美容食としての実力が比例するとは限らない。一見地味で素朴な姿をしていても、グリーンスムージーやアサイーに負けないだけのパワーがある。それが我々日本人が長期間にわたって食べ続けてきた「和食」だ。味噌や玄米、海藻類、緑茶…。海外発のスーパーフードブームに乗っかるまでもなく、和食はまさに「スーパーフード」の宝庫であった。
そのことに改めて気づかせてくれたのが本書『健康美人をつくる50の食習慣 FOOD LIST』(加藤初美/IDP出版)である。著者は管理栄養士で、ミス・ユニバース・ジャパン2016年ビューティキャンプ講師にも選ばれた人物。ちなみにビューティキャンプはミス・ユニバース・ジャパンのファイナリスト向けに開かれる勉強合宿である。私たちは本書を通して彼女たちミス・ユニバース・ジャパン候補が受講した食の授業を体験することができる。
ミス・ユニバース・ジャパンといえば世界4大ミスコンの日本大会。参加者には学生や会社員もいるが、モデルなど芸能界に近いところで活動する女性も多い。各都道府県大会を勝ち抜いた47人がファイナリストとなり、ミス・ユニバース・ジャパンを決める決勝大会に進む。ハイレベルな戦いを勝ち抜いてきた彼女たちだけに、当然美に対する意識も高い。
著者が講義の際、彼女たちに関して驚いたことがあるという。「ふだんから玄米を食べている方は?」との質問にファイナリストの半数以上が手を挙げたというのだ。
玄米以外にも野菜や大豆を積極的にとる、砂糖の多いお菓子やジュース類、トランス脂肪酸はとらないなど、世界レベルの「美」を目指す人たちの食へのこだわりは想像以上でした。
著者は本書の中で「日本人には日本人に合った食生活がある」と説く。そのベースとなっている考え方が「食の三原則」だ。腸などもともとの身体の作りにあった食べ物を食べる(「適応食」)、国内で採れた旬の食材を食べる(「身土不二」)、食材は栄養素を逃さないために丸ごと食べる(「一物全体食」)である。日本人の場合、それは米や野菜、大豆製品を中心とした食事、具体的には伝統的な和食中心の食生活ということになる。
美のプロともいえるファイナリストたちはあくまで自然体で、著者の理想とする食生活を実践していた。そのことに著者は感心する一方で、その他大勢の日本人を取り巻く食の現状に対して警鐘を鳴らす。食の欧米化に伴う肉や脂質の取りすぎ、食品添加物を含む加工食品の普及などによって、古き良き伝統が失われつつあるのだ。
著者は玄米菜食をベースとした料理教室の講師でもあり、本書で提唱される食生活は植物性の食品が中心。どちらかというとベジタリアンのそれに近い。そのため人によっては本書の記述が「合わない」と感じることもあるだろう(糖質制限中の人など)。しかし遺伝子や腸内環境に関する研究が進んだ結果、本書に見られるような「先祖から受け継いだ遺伝子や腸内細菌に合った食生活を送るべき」という主張は次第に説得力を増してきている。「昔は良かった」式の懐古趣味ではなく、遺伝子や腸内細菌といった観点から私たちは和食の価値を再発見する時期に差しかかっているのかもしれない。
高価な健康食品や物珍しいスーパーフードに手を出さなくても、味噌やコンニャク、梅干し、旬の野菜といったありふれた食材が、私たちの身体にとっては「スーパーフード」になりうる。世の美女と呼ばれる人たちはすでにそれに気づいているのだ。
文=遠野莉子
この記事で紹介した書籍
レビューカテゴリーの最新記事
ダ・ヴィンチ 最新号のお知らせ
ダ・ヴィンチ 2019年3月号 『ラブライブ!サンシャイン!!』特集
【特集1】本誌初表紙&巻頭40P!劇場版大特集!! 『ラブライブ!サンシャイン!!』【特集2】もふもふ!ニャ・ヴィンチ総力特集 もだえる!猫とマンガ 他...
2019年2月6日発売 特別定価 680円
RANKING|いま、人気の記事
-
1
「ルフィを守るサンジがカッコよすぎ…」自ら犠牲になりながら必死に守り抜く姿に視聴者涙【アニメ「ONE PIECE」872話】
-
2
こんな仲良し夫婦に憧れる……! 正反対夫婦のほっこりエピソードが素敵すぎ
-
3
「ラストのすれ違いが辛すぎる…」アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」43話、衝撃のバッドエンドに驚きの声続出
-
4
7年におよぶ職場での危険な不倫を官能的に描いた人気作『パーフェクト・クライム』――ドラマも話題!
-
5
娘のために風俗店で働くシングルマザーと出会ったのは――「Deep Love」シリーズ最新作が私たちに問いかける“本物の愛”
-
6
「そんなのアリ!?www」 アニメ「名探偵コナン」930話、容疑者たちが抱える秘密にツッコミの声続出
-
7
泉鏡花『外科室』前編 【連載】超訳マンガ×オチがすごい文豪ミステリー 第9話
-
8
亀梨和也「大切なこのバトンを胸に走り抜けたい」『ストロベリーナイト』二階堂ふみ&亀梨W主演で再ドラマ化!
-
9
『ナイフみたいにとがってら3 反抗期男子観察日記』「長男のバイト」/第3話
-
10
「相変わらず仲良しでこっちも幸せ」 郁&堂上夫婦初めての夏を描いた『図書館戦争LOVE&WAR別冊編』7巻が大好評!
出版社・ストアのオススメ
楽天Kobo
「ついにマンガの材料に!」“フリー素材”マフィア梶田が『ポプテピピック』作者の手で4コママンガになった
白泉社
「相変わらず仲良しでこっちも幸せ」 郁&堂上夫婦初めての夏を描いた『図書館戦争LOVE&WAR別冊編』7巻が大好評!
双葉社
7年におよぶ職場での危険な不倫を官能的に描いた人気作『パーフェクト・クライム』――ドラマも話題!
ポプラ社
ラストの衝撃に耐えられるか――ひとり残業中に火事に遭遇、九死に一生を得てから「この冬、君は死ぬ」と告げられ……
読売新聞
ぶっ飛んだ設定にはまる! サイコパスな殺人鬼VS脳を盗む「脳泥棒」…2019年このミス大賞受賞『怪物の木こり』
文藝春秋
まちがったダイエットは老化の原因に!? 正しく「やせてキレイになる」秘訣を、アスリート医師が伝授!
主婦の友社
たった100円でやる気、図形感覚を身につける!「おりがみ」は幼児期に最適な知的ツール!