【「男飯」漫画特集(1)】実践的な料理が魅力の『侠飯』! 柳刃の人生訓も胸に刺さる【作ってみた!】

食・料理

公開日:2017/9/16

『侠飯』(薩美佑:著、福澤徹三:原著/講談社)

 最近、とみに料理系の漫画を見かけるようになった。しかもその特徴として、再現可能なレシピを掲載しているケースが多い。これは「食」に関する興味がより身近になり、実践までを視野に入れた作品が求められているということなのだろう。とはいえ普段、料理などしないという人にとっては、ハードルは高く感じられそうだ。そこで今回は、日頃は忙しくて料理をする時間も技量もないという男性諸氏に向け、主に実践できそうな料理が登場する「男飯」漫画を紹介していきたい。

 最初に取り上げるのは『侠飯』(薩美佑:著、福澤徹三:原著/講談社)である。2017年9月現在『週刊ヤングマガジン』に連載中で、福澤徹三氏による同名小説が原作。主人公の若水良太が、ひょんなことからヤクザの柳刃たちと一緒に生活することになるハプニングストーリーだ。とはいえ、別にヤクザの抗争がメインで描かれるわけではない。タイトルに「飯」とあるように、基本は柳刃の繰り出す絶品料理の数々に、良太ら登場人物が圧倒されるという展開だ。

 柳刃の料理はどれも簡単で実践的。レトルトカレーをうまく使った絶品料理「混ぜカレー」や、家で簡単に作れる「ローストポーク」など、アイディアにあふれた品々が供されるのだ。また料理だけでなく、アイスクリームにいろいろなものをかけて「味変」を楽しむ方法なども描かれており、料理にハードルの高さを感じている向きには、まさにうってつけの作品といえるだろう。

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 そして料理と共に繰り出されるのが、柳刃の「人生訓」である。良太は基本的にダメ大学生として描かれ、柳刃が料理を通じて彼に説教するのだ。例えばエントリーシートをひと晩かけて書き上げた良太に対し、「一夜漬け」の料理を並べた柳刃は「お前のは一夜漬けにもなってない」と喝破。ひどい仕上がりのエントリーシートに満足する良太に「仕事はかかった時間ではなく、密度だ」と説くのであった。柳刃のレシピと人生訓をセットで楽しむのが本作のスタイルならば、やはりレシピは試してみよう。

柳刃流カルボナーラ

 インスタグラムに一喜一憂する良太に対し、柳刃が放った皿のひとつ。材料は3人前で「玉子5個(黄身のみ4個、全卵1個)」「粉チーズ大さじ6杯以上。好みで大量に」「パスタ300g」「オリーブオイル適量」「ベーコン1/2枚(7ミリくらいの細切り)」「ニンニク2片(みじん切り)」「バター大さじ1」「塩適量」「ブラックペッパー粗挽き多め」以上である。作り方は以下。

1.寸胴鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したらパスタを茹でる。
2.玉子と粉チーズをボウルに入れて混ぜる。
3.オリーブオイルを引いたフライパンでベーコンを炒める。
4.ベーコンの脂がにじんだ頃にニンニクを炒める。全体に火が通ったら弱火にする。
5.パスタは表示時間より1分早く鍋からあげ、湯切りをせずにトングなどでフライパンに移す。(寸胴鍋の茹で汁を捨てないこと)。
6.寸胴鍋の茹で汁をオタマ1杯くらいフライパンに入れる。
7.フライパンの具とパスタをよく混ぜてから、火を止める。
8.2をフライパンに加える。
9.寸胴鍋の茹で汁をオタマ1杯とバター、塩をフライパンに加え、黄身が半熟になるように手早く混ぜる。
10.味見して塩加減を調整する。
11.ブラックペッパーと粉チーズ(分量外)をたっぷり振りかけて完成。

 カルボナーラだが生クリームも牛乳も使わないのが柳刃流。「本場のイタリアじゃカルボナーラに生クリームは使わん」のだそうな。大量の玉子とチーズを使っているので、かなり濃厚な味である。特に難しい工程があるわけでもなく、特別な材料も必要ないので、ぜひ試してみてほしい。ちなみに以下は柳刃の人生訓。

「男が世間で認められるのは、そいつの生き方だけだ」

調理・文=木谷誠