その“めまい”や“耳鳴り”は大丈夫? 大変なことになる前に知っておきたい危険な症状

健康・美容

公開日:2017/9/29

『本当は怖い めまい・耳鳴り』(渡辺繁/幻冬舎)

 起床時や立ち上がった瞬間にフラッとする、自分にだけキーンという音がする、そんな症状に襲われた経験があるという人、少なくないのではないでしょうか。気にはなっていても一時的であることでなんとなく放置してしまう人もいるかもしれません。しかし、もしかしたらそのめまいや耳鳴りは恐ろしい病気のサインかもしれないのです。

『本当は怖い めまい・耳鳴り』(渡辺繁/幻冬舎)はめまいや耳鳴りの危険度を知るための具体的な症状や原因、改善方法や治療法などについてわかりやすく書かれた本です。耳鼻咽喉科の専門医として年間600人ものめまいや耳鳴りに悩む新しい患者さんを診てきた経験豊富な医師により解説されています。

“めまい”や“耳鳴り”と一言でいっても実はその症状や原因はさまざまだといいます。たとえば、めまい。あなたが経験したことのある“めまい”はどのタイプでしょうか。

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・フラフラするめまい:頭や体が揺れているように感じたり、実際に歩いたときにふらついたりする。
・グルグルするめまい:周囲のものが上下や左右に流れて見えたり、周囲のものや自分が回転しているように感じたりする。
・フワフワするめまい:宙に浮いているように体や頭がフワッとした感覚を覚える。
・クラッとするめまい:立ちくらみをしたり、ずっと立っていると目の前が暗くなったりする。
・動いていない物が揺れて見えるめまい:自分は揺れていないのに周囲のものが揺れて見える。

 これらのめまいの中でも脳に障害のある可能性を持った“フラフラするめまい”は特に怖いと著者は警告します。突然倒れて死に至ることもある脳梗塞が原因のケースもあるからです。そしてめまいだけではなく、どちらか片方の耳の調子もおかしいと感じたら聴神経腫瘍かもしれません。

 その他の一過性のめまいである場合には多くが心身の疲れ、風邪、貧血などが起因しているといいます。内耳に原因があり“グルグルするめまい”が起こる「良性発作性頭位めまい症」は最も多く見られるめまいですが、診断やリハビリが必要となることはあるものの危険度は高くないといいます。ただし、これらのめまいでも発作が繰り返されたり、生活に支障が出るレベルとなったりした際には注意が必要です。

 めまいに悩む人の中には重ねて頭痛に苦しめられているという人もいるかもしれません。

 脳の血管に原因のあるめまいの場合に発症しやすくなるのが片頭痛です。特に女性に多く見られ、30代の女性は5人に1人が悩んでいるといいます。そして全体の7割もの人は治療を受けていないという事実もあるのです。

 女性の中には生理による貧血やホルモンバランスの問題であると軽く考えて放置してしまう人も少なくありません。また「私は頭痛持ち」と受け入れ、治すことを諦めてしまう人もいるといいます。痛みが生じても市販薬を使用し、ごまかすのです。

 便利な市販薬ですが自己判断による使用は危険だと著者は忠告します。痛み止めの薬を手放すことができなくなってしまうばかりか、頭痛薬の飲み過ぎによって逆に頭痛が発症してしまう「薬物乱用頭痛」となってしまうリスクもあるからです。

 めまいは軽度であれば薬を使用せずに生活習慣の見直しで改善されることもあります。食事や就寝の時間を一定に保ち、疲れをためないよう充分な休憩を取ることで自律神経のバランスを整えるのです。自律神経のバランスを安定させれば血流をコントロールし、全身の機能バランスを正常に保つことも可能となります。他にも積極的に水分を摂取してめまいの原因となる内耳にたまりやすいリンパ液の水はけをよくする方法などもあるのです。

 片頭痛に悩む人は食生活の注意も大切です。血管を拡張させるようなアルコール類や加工肉食品、血管を収縮させるインスタント食品やスナック菓子は避ける必要があるといいます。チョコレートやチーズ、柑橘類も片頭痛を誘発させるので注意が必要です。

 病気は軽視していると時に思いもよらぬ状態に発展し取り返しがつかなくなることもあります。たとえば片頭痛を放置していると脳卒中のリスクを高める可能性があるのです。

 本書ではめまいや頭痛以外に耳鳴りについても具体的な症状や対策、治療法について明記されています。症状が長く続いたり、本書を読んで危険な症状だと感じたりした場合には放置せずに症状に適した改善策を試し、必要があればすぐにでも専門の医師に診てもらうようにしましょう。

文=Chika Samon