『鬱ごはん』『バーナード嬢曰(いわ)く。』作者最新巻! 永遠に終わらない“終末系”マンガ『銀河の死なない子供たちへ』

アニメ・マンガ

2017/10/18

『銀河の死なない子供たちへ 上巻』(KADOKAWA)

 世界の終わりを描いた“終末系”マンガの系譜には、古くは『サバイバル』(さいとう・たかを/小学館)や『ドラゴンヘッド』(望月峯太郎/講談社)、最近でも『アイアムアヒーロー』(花沢健吾/小学館)など、数多くの人気作が名を連ねます。延々と続く日常を生きる私たちにとって、突然の天変地異、人類滅亡の危機……そんな“世界の終わり”には、どこか惹かれるものがあるのかも……?

 9月27日発売の『銀河の死なない子供たちへ 上巻』(KADOKAWA)も、そんな“終末系マンガ”のひとつ。作者は、『鬱ごはん』『バーナード嬢曰(いわ)く。』などの日常系シュールギャグで知られる施川ユウキ。

 同作の主人公は、ラップを口ずさむのが大好きで天真爛漫な姉・π(パイ)と、読書好きで聡明な弟・マッキ。

ラップのリリックを口ずさむ姉のπ(パイ)。

読書であらゆる知識を得る弟のマッキ。

ふたりが「ママ」「母さん」と呼ぶ、謎の女性。

 かつて“生きている人間”が住んでいたという、2人が暮らすこの星。現在は、ビルや遊園地などの朽ち果てた文明の上に自然が広がり、野生動物たちが闊歩しています。ここは、終末後の世界なのです。

 実は、πとマッキは“死なない”存在。ハイエナに食べられて手足がちぎれても、首を吊ってみても、地面に寝そべって、朝と夜を繰り返す空模様を何億年と眺め続けても、決して死なないし、歳も取らずに子供のまま。かつて存在した人間たちのように、“死ぬ”とはどういうこと? そして“死なない”ということは? 2人が慕う「ママ」は、何も教えてくれません。

 そんなある夜、空から宇宙服を着た人間の女性が不時着。彼女は赤ん坊を産み落とし、何も語らないまま絶命してしまいます。

 πとマッキは「ママ」に内緒で、生まれた人間の赤ちゃんのお世話をすることに。「ミラ」と名付けられた赤ちゃんは、2人に大切に守られて育ち、すくすくと成長していきます。

 πとマッキは“生きている人間”のミラから、いったい何を教わるのでしょうか? 死なない2人の存在の謎や、「ママ」の正体は――?

 よくある“終末系”マンガの醍醐味は、リアリティのある絶望的な状況下で、主人公が“生きる”ために必死で奔走する姿にありますが、同作は不思議な永遠の命を持つπとマッキの終わらない日常が、淡々と続いていくのです。

 素朴でかわいい絵柄の裏に、そこはかとない虚無感が漂う同作には、Twitter上に「読んでたら胸が苦しくなった」「まじちょーイルネスでドープ」「キャラにそこはかとないかわ怖さがある」「なんでこんな漫画が描けるの」などの感想が噴出。みんな、πやマッキと共に“死ぬ”ことや“生きる”ことについて、じわじわと考え出してしまったようす。

 あなたも、この秋の夜長は“死なない子供たち”に思いを馳せてみるのはいかがでしょう?

文=立川米(清談社)