定年退職した日に妻から告げられた、70歳での妊娠…人生の終盤に超大型イベントを迎えた老夫婦の可笑しくて愛おしい日々『セブンティウイザン』

マンガ

公開日:2017/11/18


65歳で会社を定年退職した日、朝一は妻の夕子から思わぬ事実を告げられた。

慌てる朝一をよそに、夕子の意思は固い。

かくして、高齢夫婦の大冒険が始まった。

初めは現実を受け入れられなかった朝一も、少しずつ父親になっていく。

親として、残された時間は長くはない。夕子は“みらい”と名付けたまだ見ぬ我が子に、ビデオレターで想いを語る。

そして、ついに…新米パパママの冒険は新章へ。

 タイトルのまま、70歳で初産(セブンティウイザン)を迎えることになった高齢夫婦の物語。
 この想定外の出来事に、65歳の夫は焦り、つわりでうずくまる妻を「脳梗塞!?」と勘違いするなど(笑)、事実をなかなか受け入れられず、うろたえます。

 対して、妻にとっては想定外などではなく、40年間待ち続けた子宝だったのです。夫に猛反対されても、周囲に奇異の目で見られても、彼女にとってはノイズにすらなりません。
 “母になる”という静かで強い覚悟は圧倒的で、深い感銘を覚えます。

 非現実的なストーリーかもしれません。
 しかし、時に過去に遡りながら描かれる夫婦の半生は、実にリアリティがあります。
 このため、読み進めていくと70歳で妊娠と言う突飛な設定に違和感はなく、シリアスさとコミカルさがバランス良く合わさった秀逸なヒューマンドラマとなっています。

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 この先残された時間は、長くはない。その分、それまでの愛情と経験を凝縮したような夫婦の言葉は、読み手の心に滲みてきます。
 人生の初心を思い出させてくれるような、そんな作品です。

セブンティウイザン
レーベル:バンチコミックス
出版社:新潮社
著者:タイム涼介
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(C)タイム涼介/新潮社