仕事が驚くほど速くなる! シンプルな「図」の使い方とは? NewsPicks・クリエイティブ統括者が解説!

ビジネス

2017/12/5

『図で考える。シンプルになる。』(櫻田潤/ダイヤモンド社)

 2017年も終わりが見えてきた。「今年こそ!」と、年頭に掲げた目標は達成できただろうか。それとも、日常に追われ、もう、目標自体が記憶の彼方に消えてしまった、という人もいるだろうか。当たり前だが、目標は、強い動機や、やり遂げるのに値する理由などが原動力となり、叶えることができる。しかし、事柄によっては、目標を立てたものの、どこか確信が持てず、モヤモヤしたり、乗り越えなければならない課題があったりと、いろいろな思考が頭の中で、堂々巡りを繰り返すことはないだろうか。そんな時の手助けとなるツールがある。

 『図で考える。シンプルになる。』(櫻田潤/ダイヤモンド社)は、様々な思考や問題を“図”に書き起こすことで、目に見えるだけではなく、思考の「視点」がどこにあるかを明確にして、課題解決やプレゼンなどの伝達に活用することを提案している。……ということは、自分が作った図をプレゼンツールとして、人にも見せることが想定される。そうなると、どうしても図の見栄えが気になってくる。だが、著者は図を描くにあたり、フォントやレイアウトよりも、先に考えてほしいことがあるという。

図は、プレゼンツールである前に、自分の考えを磨き上げて投影する思考ツールなのです。(略)
そもそも自分が内容を理解して図を書いているのか?
図にする対象への理解は足りているのか?

 上記の2点を確認しながら図に表すことが、一番大切なことであり、著者は「自分が理解して作った図であれば、人に話しやすく、見栄えが洗練されていなくてもほとんど影響しません」と語る。

 本書は、この世にある多くの図解から、著者が厳選した「7つの図」を解説。それぞれの図の名称とスタイル、その図解の目的がページごとに紹介されている。

(1)交換の図 あらゆる関係を「見える化」する
(2)ツリーの図 モノゴトの構造をクリアにする
(3)深堀りの図 疑問をどんどん掘り下げてクリアにする
(4)比較の図 2軸で項目の違いをクリアにする
(5)段取りの図 目的や目標までの道のりを「見える化」する
(6)重なりの図 商品やサービスの「特徴」を浮き彫りにする
(7)ピラミッドの図 目指す方向性をはっきりさせる

 図を作るために必要な「基本ツール」はどの図でも、四角、丸、三角、矢印(または軸線)を繋いだり、組み合わせたりするだけでできる、シンプルなものだ。

 本書の各章は、図ごとにレッスン形式になっている。最初にそれぞれの図の課題として「パソコンの機種を比べて選ぶ」「ハーゲンダッツの売り方の特徴は?」「リピーターをどう増やす?」などの出題があり、隣のページで解説と解答が掲載され、まとめでもう一度復習できるようになっている。参考書のような構成で、冒頭には、とてもわかりやすい「本書の使い方」が示されている。この基礎編に続き、応用編では「7つの図」を多面的に扱い“自分の人生戦略”も、図を用いて考えられるようになる。さらに、「図の語り方」まで伝授し、図をコミュニケーションツールとして「磨き上げる」ところまで、読者を導いてくれる。

 著者の櫻田潤氏は、経済情報に特化したニュース共有サービスのサイト・ニューズピックスのインフォグラフィックエディター。仕事の上で必要となった「モノゴトを深く理解したい」という欲求から、本やテレビ番組を「1枚の図」に要約するようになったという。その図解を自分の個人サイトに掲載したところ、話題を呼び、今では多くのメディアからデザイン依頼があり、企業でも「図解思考」「デザイン×図解」などのテーマで研修やワークショップを行い、各方面から高い評価を得ている。

 「7つの図」を応用すれば、社会の大きな問題からビジネス、もっと身近な暮らしや悩みまで、自分の周りに存在する、ありとあらゆる問題や課題がシンプルに可視化できる。図解は、客観的な精査が行なえる便利なツールとなるだろう。そして、思考力を鍛えるという点において、大人だけではなく、10代の悩み多き中高生にもお薦めしたい本である。

文=小林みさえ