社長がこんなフレーズを口にしたら、あなたの会社は危ない!「決算はとにかく正確に。1円の間違いもなく報告せよ」

ビジネス

2017/12/19

『絶対会社を潰さない社長の口ぐせ』(小山 昇/KADOKAWA)

 あなたの会社の社長は、数字に細かい方でしょうか?
 多くの社長は、経理に正確さを求めます。「決算はとにかく正確に」そう口酸っぱく言う社長もまた多いでしょう。
 もちろん、正確であることは良いことです。しかし、それがどんな場面でも当てはまるとは限りません。
 経営判断に必要なのは「早く数字を知ること」なのですから、必要以上の“正確さ”に、無駄な時間をかけているのが当たり前になっているのであれば…その会社は危ない、と言えるでしょう。

 フランチャイズ事業、中小企業の経営コンサルティング事業を柱に15年連続で増収を続けている企業、株式会社武蔵野。その代表取締役社長である私、小山昇が、「決算はとにかく正確に」発言の危険性について解説いたします。

■大事なのは「正確さ」よりも「早さ」

 多くの社長は、経理に「正確さ」を求めます。ですが私は、経理に「早さ」を求めます。

 家を出るとき、財布の中に「お札が何枚あるか」がわかればいいのであって、「小銭」まで細かく数える人はいませんよね?
 それは、会社でも同じ。経営判断に必要なのは「早く数字を知ること」なのですから。
 98%の精度でもかまわないので、「翌月1日、前月の数字を知る」ことが肝心です。

 経理は、1円単位で物事を考えます。
 社員は、1000円単位で物事を考えます。
 けれど社長は、「100万円単位」で物事を考えるべきなのです。

 私が最優先で知ろうとしているのは、
「黒字か、赤字か(赤字ならばすぐに対策を打つ)」
「黒字ならば、前年同月と比べて多いか、少ないか(前年より利益が出ていれば問題ない)」 の2点だけです。

■社長にとって必要なのは、「上2桁」の数字

 私が社長を務める会社、武蔵野の月次決算は、「締め日の翌日」には出るしくみです。「締め日の翌日」にした理由は、スピード経営のためです。

 わが社は、パート・アルバイトを入れると800人に及ぶ大所帯です。しかし、経理部門はわずか3人で担当しています(社員2人とパート1人)。それでも月次決算は、締め切った翌日の夕方6時には、P/L・B/Sが出ます。
「締め日の翌日」に数字を出すことができるのは、社員に完璧を求めていないからです。多くの社長、多くの経理担当者は、「月次決算では、1円単位の間違いも許されない」という先入観を持っていますが、これは誤りです。
 売上は1~31日、仕入は21日~20日、給料は16~15日の締め切りでそれぞれがズレています。毎月同じタイミングで締め切るから問題がない。

 武蔵野では月次決算の数字の精度は98%にとどまっています。「精度は高い」と言えるでしょうが、売上規模からすれば、集計時毎月数百万円もの誤差が出ています。
 ですが、社長にとって必要なのは、「上2桁」の数字であり、1円単位の数字ではありませんからそれで良いのです。社長が知らなければならない数字は、アバウトでいい。100万円単位の誤差は、経営判断に影響しません。
 月次決算に3週間かかる会社で、前月の振り返りをして次の手を打つと、1ヵ月ロスすることになります。中小企業の1ヵ月の判断遅れは、致命傷になりかねません。

 大切なことは、経理が早く数字を出すことです。その数字が正確か、正確ではないかは関係ありません。
 なにより「早く出る」ことが正しいのです。
 数字が正確でなくてもいいから、できるだけ早く「黒字か、赤字か」をはっきりさせる。残り2%の誤差は、後日修正すればよいのですから…。

――「決算はとにかく正確に」。もし、社長がこんなフレーズを口にしたら、あなたの会社は危ないと考えてください。

<著者紹介>
小山 昇(こやま のぼる)

株式会社武蔵野 代表取締役社長。 1948年山梨県生まれ。
2001年から中小企業の経営者を対象とした経営コンサルティング「経営サポート事業」を展開。700社以上の会員企業を指導しているほか、全国各地で年間240回の講演・セミナーを開いている。主な著書に「社長の決定シリーズ」の『経営計画は1冊の手帳にまとめなさい』『本当に儲ける社長のお金の見方』『絶対に会社を潰さない強い社員の育て方』『右肩下がりの時代にわが社だけ「右肩上がり」を達成する方法』(以上、KADOKAWA)、『残業ゼロがすべてを解決する ダラダラ社員がキビキビ動く9のコツ』(ダイヤモンド社)など多数。