なぜ、あの人は「質問がうまい」のか?――タテで深堀り、ヨコに広げる

ビジネス

公開日:2018/1/31

『2軸思考』(木部智之/KADOKAWA)

■話すときは「ピラミッド構造」を意識する

 話をするときには、話をする対象の「ピラミッド構造」を意識すると相手にわかりやすく話すことができます。

 ピラミッド構造というのは、たとえば図のようなもの。


 全国の店舗の売上について話す場合、「全国」の話から始めて「九州地方」「福岡県」とタテに降りていく話し方もありますし、「関東地方」から「関西地方」「九州地方」とヨコに展開していく方法もあります。

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 いずれの話し方もピラミッドの構造に沿って話が構成されているので、聞く側としてもわかりやすく聞くことができます。
 このような構造を意識しないと、「全国」から始まって「福岡県」に話が飛び、次に「関東地方」に行くといったとりとめのない話になりやすく、話がわかりにくくなります。

■「タテ」と「ヨコ」で質問を考える

 仕事の場面では、伝える立場だけではなく受信者側の立場、聞き手になることもあります。

 自分が発信者側であればピラミッド構造を意識した上で話をすることができますが、話を聞くときには入ってくる情報が断片的で、話がどの方向に向かうかがわかりません。
 そのようなときにも、ピラミッド構造をイメージしながら話を聞くと「自分がいま本当に聞くべきこと」にフォーカスして質問を繰り出すことができます。

 たとえば、相手が「九州の売上は○○万円でした」と報告してきたとしましょう。ここで、ピラミッド構造をイメージします。九州の売上を他の地域と比較したい場合は「関東の売上はどうなっている?」「関西は?」とピラミッドのヨコに展開して質問をしていけばいいですし、九州の売上の詳細が知りたければ「福岡県、鹿児島県など各県の売上はどうなっている?」とタテに質問していけばいいわけです。

 ピラミッドがイメージできていれば、福岡県の売上を聞いたあとに、愛知県、宮城県など、別のブロックのヨコに質問を広げていくことも簡単にできます。

■ピラミッド構造でプライベートでも聞き上手に

 このピラミッド質問法は、あらゆる話題に使うことができます。
メンバーからあるプロジェクトが遅れているという報告を受けたとき、遅延している理由を知りたければ、タテに掘ってプロジェクトのどの部分が遅れているのかを明らかにしていけばいいですし、そのメンバーの状況が知りたければ、「他の案件はどうなっている?」とヨコに展開していけばいいわけです。

 このピラミッド構造は、プライベートの会話にも応用できます。
 友達が「ディズニーランドに行って、パレードがきれいだった!」という話をしてきたら「いまどんなパレードやっているの?」「どれくらい待った?」とタテに聞いていくこともできますし、パレードの話が終わったら「アトラクションは何に乗った?」「食事は何を食べた?」とヨコに展開していけば話がどんどん広がります。

 タテに詳細に聞いていくのか。ヨコに範囲を広げて聞くか。この2つを意識するだけで、質問、ヒアリング、インタビューの質とレベルが上がり、聞き上手になるのは間違いありません。

木部 智之(きべ ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBM にシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。英語はもちろん、日本語も含めていくつもの言語を巧みに操り、かつ仕事も優秀な彼らに衝 撃を受け、自分はグローバルに通用する人材なのかと自問自答した。 それ以来、いちビジネスパーソンとして世界中どこでも通用するスキルを身につけることを追求してきた。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』『複雑な問題が一瞬でシンプルになる 2軸思考』(いずれもKADOKAWA)がある。