なぜ夫以外の男を求めるのか? 家庭外で「自由恋愛」を楽しむ妻たちの心理

恋愛・結婚

公開日:2018/2/5

■妻にとって「自由恋愛」はカジュアルなトリートメント

 妻たちの分散恋愛、自由恋愛……、この事実を知らない夫たちは多い。もちろん恋遊びをしている男性、つまり、妻や伴侶以外の女性と自由恋愛を繰り返す男性からすれば、珍しくもない話ではある。

 一方、妻たちのなかには「夫にも許可をとってるし、お互い様だし」そんなふうに爽やかに言い切る女性も大勢いる。しかし、禁欲的に働く夫からすれば完全に「ドラマの世界」である。まじめに働いている男性からは想像がつかないような恋、愛、デザイアの世界に妻たちは生きている。自分の人生と取り戻すためだ。

 しかし実際これはドラマよりも頻繁に、ライトに、ファストに、カジュアルにまるでエステサロンでトリートメントをするようにルーティンに、大人の男女間で普通に頻発している現象なのだ。スマートに品良く、のめりこまずに、まるでスイーツを白昼のカフェでほおばるように「命の営み」をゆるやかに愉しむのである。

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■大人の恋愛格差――あるところにはあり、ないところには皆無の自由恋愛

 この日本には「恋愛格差」が確実に存在する。枯れ果て、修行僧のように禁欲生活を強いられる夫たちの大群。片やたとえ夫との関係が破たんしていても、自由恋愛をしない生活に満足している妻たちも大勢いる。しかし、そのように禁欲的な生活をしている人々と対象的に、常に上手にスマートに爽やかに伴侶以外と自由恋愛を続ける妻たちの大群がいる。

 異性との関係の深度は人によるが、ランチで見つめ合い、友達以上恋人未満の空気を愉しみ、互いに微量の好意を持っていることを伝えるのみの「自由恋愛」のひともいる。この場合、複数の異性とに及ぶことが多く、すべてを「友達」というフォルダに格納している。もちろん完全に不倫になる人もいる。「男女間確信犯による最強の悪マブダチ」契約に踏み込むケースも当然ある。この国には禁欲の人と、そうでない人の格差が存在する。その違いは肌艶、オーラ、異性と話すときの身のこなしに現れるので、自由恋愛している人から見れば一瞬で見分けがつく傾向が強いものである。

■なぜ妻は夫以外との自由恋愛に走るのか?

 自由恋愛をする女性は皆、綺麗にしていて、これから離婚して2度目の結婚をしようとすれば1か月もたたないうちに売れてしまうような女性ばかりだ。

「旦那とは同じベッドで寝ていませんよ。男として見れない。子供が小さいときは子育てに集中していましたが、子供が中学生になって手がかからなくなったら、もうその時は夫ではない男性がよくなっていました(40代・都内・営業職)」

 なぜ男として見れなくなったのか?家族になってしまっていて、彼氏彼女のような感覚がないのだという。さらに興味深かったのが「生理的に受け付けない」という理由だ。

「においがダメなんです。言動が嫌とかケンカをしたといったことではなく…」

 夫の体臭が嫌で一緒のベッドに眠れない妻たちは確実に存在する。ただし、これはまだレアケースといった印象だ。やはり一番多かったのは「気持ちをわかってくれないことの積み重ね」であった。妻が外で分散恋愛に走る原因は主に「さみしい」「夫がやさしくない」「互いを思いやる善意の関係がない」「仕事によるすれ違い」「夫婦喧嘩」が多かった。さらには「溜まりに溜まった妻側の鬱憤」が最後の引き金になるケースも多い。子育て、親戚、近所づきあい、両親関係から食らったストレスが鬱積し爆発寸前―――夫以外との自由恋愛はそれを発散する場所なのだという。

 そう考えると妻に自分以外と分散恋愛してほしくない夫は、まずは妻の心のケアをすることが肝要と言える。しかし、一度気まずくなった空気を小手先で変えることは難しい。ここはきっぱりと「これからの2人の関係をもっとよくしたい」という言葉と、何か1つ贈り物をするのが良い。食事に誘うと断られる可能性があるが、贈り物であれば、一瞬で妻の手に渡る。贈り物は高価なものである必要はなく、小さな贈り物を何度が繰り返し、そこから話し合いに持って行くのがポイントだ。

■「昔モテた」×「まじめに主婦をしてきた女性」が嗜む息抜き法

「同級会、子供のスポーツ教室、妻会と称した既婚者合コン、街の大人の出会いの場所、そして仕事関係で出会います。夫と子供のために我慢をして、自分を犠牲にしていた、うんざり、これだけやってきたのだから好きにさせてよ、とヤケクソな気持ちもあります」

 早く結婚して遊んでいない女性、かつ綺麗な女性ほどディープな状態まで陥りやすいという。一方、過去に十分青春を愉しみ、男友達ともワイワイ過ごしてきた女性は、上手に自由恋愛を愉しむ。決してドツボにはハマらない。過去にモテた女性もそのリバイバル、青春カムバックを狙っている様子もうかがえる。自尊心を満たしたい、まだまだ女の価値があることを証明したい。口説かれるのが好き、火をつけてくれる男を探しているようにも見える。

「子育てしているときは、それでも我慢しているし、浮気もしない、子育てのためにはお金がいるからオスは必要なんです。外で互いに浮気をしても別れないのは、パートナーがいたほうが老後に相互介護に都合が良いですからね(40代・神奈川県・主婦)」

 家庭外で分散恋愛を愉しみ、パワーをチャージし、エステサロンに通うかのように身心をトリートメントする女性……。「この文化に法律がついてきていない」──実はこれはある女性の発言である。かつて日本国の法律はもっと不倫に厳しかったが近代史のなかで緩和された過去もある。この先、日本の恋愛法はどうなるのか?しかし法律がどうなろうと、男女は需要と供給、自由恋愛、分散恋愛がなくなることはない。

文=citrus エッセイスト 潮凪洋介