石田ゆり子に学ぶ「いいなと思われる女性」になるための秘訣

エンタメ

2018/2/16

『Lily ――日々のカケラ――』(石田ゆり子/文藝春秋)

『逃げるは恥だが役に立つ』で石田ゆり子さんが再ブレイクともいえる人気の高騰をみせたのは、言うまでもなく演じた「百合ちゃん」というキャラが、彼女にぴったりハマっていたからだ。アラフィフの独身キャリアウーマン。決して自信満々に生きているわけじゃない。だけど人生に責任をもって、胸を張れる自分であろうとしている。しなやかに強いけど、恋には臆病でチャーミング。その凛々しさと可愛らしさが大人の色香となって匂いたっていた。

 だが『逃げ恥』の放送が終わっても人気が揺るぎないのは、百合ちゃん以上に石田さん自身が魅力的だから。顔の造形だけではない、たたずまいの美しさを備えた石田さんのフォトエッセイ『Lily ――日々のカケラ――』(文藝春秋)は発売初日に10万部を突破。発売後3日で14万5000部発行と、破竹の勢いで手にとられているのは、そんな石田さんに女性たちが理想の美を見出しているからだろう。

〈ラクで美しいものはないのだと思います。(略)大人だって、美しいと言われるような存在は、ただ安穏と過ごしているわけじゃない。周囲に甘んじない生き方をしているから、美しいのだとわたしは思うのです。〉

 帯にも引用されている、巻頭エッセイのこの言葉。これがすべてだ。石田さんは知っている。どんなに自然体に見えても、天性の才能に恵まれているように見えても、美しい人はみんな日々の努力を積み重ねていると。

「りりの通ったあとはりりの匂いがする」。妹さんからそう言われるのは、かれこれ10年、家じゅうに同じポプリを置いているから。人の香りは、その人の日常の象徴だ。いい匂いのする香水を、雑に吹きかけるだけではその香りをモノにすることはできない。

 やわらかく知性に溢れた文章を書けるのは、本を持っていないと不安になるほど読書が好きだから。あれこれ考え込んでしまう性格だから、思索を言葉でほどいていく。自分で自分を整理するすべを知っているから、何があっても自分らしくいられる。

 美容にだって気を遣う。大好きなカスタードクリームは、あれば食べてしまうから自分で買わないようにしているし、甘いものがほしくなったら視覚を刺激して少量でも満足できるよう盛り付けの工夫をする。

 そんな、石田さんが日常で実践しているひとつひとつに姿勢をぴんとさせられるのは、彼女が決して“完璧”ではないからだ。いま流行りのミニマリストにはなれないし、修行僧のようにストイックにも生きられない。だめな自分に落ち込むこともあるし、自意識に苦しめられた時代もあった。けれど弱い自分を知っているからこそ、他人と比べない、競わないように、心を強くもつための努力ができた。その積み重ねてきた結果が今の美しさなのだとわかるから。

〈わたし、「責任のないところに自由はない」という言葉がすごく好きなんです。自分で責任を背負うからこそ、選択肢を得られる。言い訳ができないからこそ、楽しめる。〉

 と言いきる石田さん。その姿に、年を重ねていくことの尊さと憧れを抱かざるをえない、そんな一冊なのである。

文=立花もも