誰もが使っているSNSを仕事に活かすには? マーケティングに必要な知識と手法を集結

ビジネス

公開日:2018/2/27

デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール(MarkeZine BOOKS)(林雅之/翔泳社)

 私たちのまわりには、24時間吸収し続けてもとても消費しきれない膨大な情報が流通している。特にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)文化が根付いてからは、一層その傾向が強くなった。そして、今は生活者が情報を選ぶ時代になっている。つまり企業は“生活者に愛されるマーケティング”をしていく必要がある。2030年には、マーケティング予算の50%が、生活者とコミュニケーションを図ることができるSNS関連に回されるとも予測されている。SNSは今、マーケティングに欠かせないツールなのだ。

 しかしSNSと一言で言っても、Facebook、Twitter、Instagram、LINEなどサービスの種類は様々。使用するSNSによって、ユーザーの傾向やアプローチの仕方も変わってくる。そんな中で「若いから」「SNSをやってるから」なんて理由で社内のSNS担当に任命され、頭を抱えている人も多いのが現状だ。

 そこで悩める人たちにオススメしたいのが、『デジタル時代の基礎知識 『SNSマーケティング』「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール(MarkeZine BOOKS)』(林雅之/翔泳社)。本書は、SNSをマーケティングに活用することでユーザーとつながり、ファンを増やして売り上げにつなげていくための本だ。

advertisement

■SNSをマーケティングに活用する目的は、“ファン”の獲得

 では実際、どのように運用していけばいいのだろうか。
 SNSが重視される理由として、「情報拡散力の高さ」が挙げられる。利用者とつながり、そこに情報を投稿すると、気に入ってもらえれば利用者自らが商品やサービスのことをシェアして広めてくれる。現実世界でいう“口コミ”に近い方法だ。口コミ形式の情報は、企業が自社の宣伝をするよりはるかに信頼されやすく、購入に結び付きやすい。そこで企業は、自然な形で拡散してもらえるようユーザーやファンとの距離を縮め、よりつながりの強いファンへと育てていく必要がある。SNSはそのための手段なのだ。

 そして、SNSマーケティングにおいて忘れてはならないことがある。それは、ほとんどのユーザーは、企業情報を得るためにSNSをしているわけではない、ということだ。

 ユーザーは「可愛い」「楽しい」「好き」といった自分にとって有益な情報を求めている。企業からすれば、予算を投入して運用しているのだから「宣伝したい」という気持ちが大きいだろう。

 しかし本書によると、宣伝ばかりしていては投稿を見てもらえないそうだ。自社のSNSアカウントをユーザーにとっての最高のコンテンツにするには、その記事や情報が、(1)タイムリーである、(2)親しみやすい、(3)共感できる、(4)役に立つ、(5)ユーザー参加型である、という5大要素を意識し、フォローしてくれたファンが何を求めているのかを考えて、キャンペーンやアンケートを取り入れながらそれに沿った投稿をする必要があるのだ。

■ファンとの密なコミュニケーションが、SNSのサービスを向上していく

 また、SNSを活用する上で考えなければならないのは、ユーザーが行なう取捨選択だけではない。SNSの投稿は、各SNS独自のアルゴリズムによって記事の優先度や表示順などが決められる。コメントやいいね(お気に入り)の数、リツイートの数、関連性の高さなどによって自動判断され、「この投稿の優先度は高くない」と判断を受ければ、表示されることすらなくなってしまうのだ。
 そうならないためにも、SNS担当者はつながっているユーザーと日頃からコミュニケーションを密に取り、反応を逐一貰えるような投稿を心掛けなくてはならない。

 この『デジタル時代の基礎知識 『SNSマーケティング』「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール(MarkeZine BOOKS)』には、上記で述べた以外にも、具体的な事例や要素、手法、情報源、成功パターンや失敗パターン、炎上への対処法などが詳細に、かつわかりやすくまとめてある。

「ユーザーの興味を引き、見てもらい、ファンを育てる」と結論だけ言うと単純に思えるかもしれないが、各企業が予算を投入してしのぎを削る現在、それは決して容易なことではない。
 また、「社内や上司の理解がない」「現実的でない結果を求められる」など、社内における壁もまだまだ高いのが現実だ。
 SNSマーケティングは、今後ますます需要が高まっていくだろう。その中で出遅れないために、またファンを掴んで育てていくためにも、読んでおいて損のない一冊だ。

文=月乃雫