世界最強の特殊部隊直伝! 超説得力のある究極の“サバイバル本”

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公開日:2018/2/27

『アメリカ海軍SEALのサバイバル・マニュアル 災害・アウトドア編』(クリント・エマーソン:著、竹花秀春:訳/三笠書房)

 備えあれば憂いなし。自然災害をはじめとして、私たちはいついかなる脅威にさらされるかは誰にも分からない。そのため、本の世界でもさまざまな災害対策マニュアルやサバイバル・マニュアルが登場しているが、タイトルからして思わず「ハッ?!」とするような一冊があった。

 世界最強と称される特殊部隊直伝のノウハウを一手に集めた書籍『アメリカ海軍SEALのサバイバル・マニュアル 災害・アウトドア編』(クリント・エマーソン:著、竹花秀春:訳/三笠書房)だ。

◎自然災害や犯罪まであらゆるシチュエーションの“サバイバル”を網羅

 タイトルからしてインパクト絶大な一冊。実際手に取ってみると、劇画調の鬼気迫るイラストにも心を奪われるのだが、数々の想定されるシチュエーションもこの本の“異質さ”をかもし出している。

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 例えば、サバイバル的な要素の一つに「イノシシの攻撃をかわす」という項目がある。のっけから「イノシシに出くわす可能性は想像以上に高い」という一文にグッと惹きつけられるだけではなく、獰猛さは「野生の哺乳類の中で一番といっても過言ではない」と煽るあたり、本書の“翻訳の妙”も感じずにいられない。

 解説のイラストは実物でぜひ確認してもらいたいのだが、本書によればイノシシともっとも遭遇する確率が高いのは夜明けと日暮れ。万が一、出くわしてしまったときは地上から180センチ以上の高さの場所へと上り、それでもダメなら、闘牛士のようにかわす。そして、立った姿勢を維持して、木の棒などで弱点を狙い撃ちするか刺すのが絶好の対処法だという。

 また、自然界でのサバイバルのみならず犯罪までも網羅する本書には「不法侵入者の特徴を知る」「爆破予告に対処する」、果ては拉致監禁された場所で「DNAの痕跡を残す」といった事細かな解説が記されている。

◎竹で水を飲む、スマートフォンで救難信号を送るなどのノウハウも

 ぶっ飛んだ項目も目立つ本書であるが、一方で、身近に起こりうる災害時に備えて覚えておきたい解説もいくつか収録されている。

 例えば、想定されるシチュエーションこそジャングルでの遭難なのだが、飲水を確保するために「竹から水を採集する」方法が紹介されている。本書によれば、竹の根から吸い上げられた水は、細胞壁を通り濾過されているのだという。水を飲むためには、竹の節のすぐ下に穴を開けて、小さい竹の茎をストローのように差し込み吸う。竹は中が空洞になっているため、節のところからもし切れるのなら、水筒としても使えるとある。

 また、万が一孤立してしまったときは、スマートフォンも救難信号代わりとなる。日中ならディスプレイに日光を反射させて使い、夜ならバックライトを点灯させることで、上空のヘリなどへ救援を求めるために役立つ。

 元SEAL隊員の著者は「危機的状況において自分でどうにかできるのは準備と対応だけ」だという。一見“こんなのあり得る?”と思えるシチュエーションすら網羅した本書は、必ずや生き残るための道しるべとなるはずだ。

文=カネコシュウヘイ