管理会社は辛いよ…入居者も読むべき! 賃貸物件の管理者向けマニュアル

暮らし

2018/3/12

『帰ってきた 助けてクマさん! 賃貸トラブル即対応マニュアル』(熊切伸英/住宅新報社)

 まもなく新生活シーズンがやってくる。大学への入学や就職など、さまざまな事情から憧れの一人暮らし生活を手に入れる人たちも少なくないだろう。しかし、アパートやマンションなど、賃貸住宅には何かしらのトラブルがつきまとう可能性もある。

 例えば、時たま耳にする隣人の騒音なんかはあるあるの一つ。小さなトラブルがやがて日々の生活にまで大きな影響を及ぼしかねないときもあるが、そこで私たちの支えになってくれるのが賃貸物件を管理する賃貸管理会社の方々だ。

 その一人である人気ブロガー・クマさんこと熊切伸英さんの書籍『帰ってきた 助けてクマさん! 賃貸トラブル即対応マニュアル』(住宅新報社)という一冊が刊行されていた。本来の中身は、主に賃貸物件のオーナーや管理会社のスタッフ向けに書かれたトラブルの対処マニュアル。しかし、入居者となる私たちにも、なかなか身につまされる内容が掲載されている。

■管理会社の仕事は幅広く「ストレスがたまることも多い」

 著者のクマさんは、人気ブログ「賃貸管理クレーム日記」のブログ主として知られる方。1996年から賃貸管理会社で働く、ベテランスタッフでもある。

 本書の説明によれば、賃貸管理という仕事の範囲は幅広い。一概に「入居者を募集して仲介して管理する」というだけではなく、細かくみると「入居者募集」や「滞納督促」、果ては大家さんやオーナーさんに代わっての「定期清掃」など、状況によってじつは、さまざまな派生業務までを請け負っているという。

 また、自身の経験をふまえてクマさんは、賃貸管理の仕事について「ストレスがたまることも多い」と打ち明けている。それは、日常の細かなトラブル対応が基本業務になるからで、時には、プライベートの時間でも直接電話がかかってくることから、“新人君”が「休んだ気がしなくて辛いんです」とぼやいていたこともあったそうだ。

■よくある騒音トラブルは入学直後のシーズンなどにありがち

 クマさんによれば、賃貸物件で「圧倒的に対応が多い」のが身近なあるあるの一つである騒音トラブル。例えば、本書で紹介されている「飲み会系騒音」は、学生が多く住む賃貸物件で、入学直後のシーズンにありがちなのだという。

 きっかけの多くは「◯◯号室が夜中に騒いでいた」という苦情から。こうした場合はまず、部屋を訪問してから「◯◯君、昨日飲み会やってたでしょ」と気軽に尋ね、さらに「うるさくて寝られなかったって電話が殺到したよ」とやや大げさに注意すると学生たちの多くは素直に聞いてくれるそう。

 それでも続くようなら「他の部屋の方が出ていってしまったら損害賠償請求することになるので、◯◯君に厳重注意してください」と親御さんへ伝えて、ちょっときつめにお灸をすえるのだという。

 また、飲み会と同様にありがちなのが「配慮不足系騒音」。特に鉄筋コンクリート造だとテレビやステレオの音を大きくしたり、部屋の中で運動したりしているときの音が意外に響くことも多いため、苦情のもとになりかねないそうだ。何ごとも“適度”を心がけて生活するのが、トラブルを防ぐための万全策かもしれない。

■クマさんが出会った「威嚇タイプ」の困った入居者

 必要なことをきちんと管理会社などに伝えるのは大切。しかし、昨今ではどの業界にもいえることだが、あまりに度を超えた意見ばかりを出していると“クレーマー”扱いされることもある。入居者が怒る場合は「何らかの理由があることがほとんど」と振り返るクマさんだが、一方で、困るのが何かあるわけでもなく「激怒する」人たちもいるという。

 その一つである「威嚇タイプ」にクマさんが遭遇したのは、繁華街にあったマンスリータイプのマンションに住む40代の男性。振り込まれていなかった賃料を徴収しにいったところ、ペットの飼育が禁止だったにもかかわらず、犬の鳴き声が聞こえたのだそうだ。

 クマさんが「ペットの飼育禁止なので犬を部屋に入れられたら困るんですよ」と注意すると、「ちょっと人から預かっているだけなので、すぐにいなくなるから」と応えた男性。侃々諤々のやり取りのあと、男性の部屋からは「お前が吠えるからこうなったんだろ! ふざけんじゃねえよ。この野郎!」と叫ぶ怒号が室内から聞こえてきたという。

 結局、その後は男性側から解約通知が来たようだが、クマさんは「威嚇して言いにくい雰囲気を作り上げるテクニックの持ち主だったのでしょう」と振り返っている。

 さて、冒頭でもふれたが本書『帰ってきた 助けてクマさん! 賃貸トラブル即対応マニュアル』は本来、賃貸物件を管理する側に向けて書かれたものである。しかし、入居者として読んでみるのも面白く、大家さんや物件のオーナーさん、管理会社の方々の苦労を知ることで、よりよい関係を築くきっかけにもなりうる。

文=カネコシュウヘイ