「南極に行く」という夢を抱く4人の女子高生たちの物語がマンガに!

アニメ・マンガ

2018/3/13

『宇宙よりも遠い場所 1 (MFコミックス アライブシリーズ)』(宵町めめ:著、よりもい:原著/KADOKAWA)

 プロ野球選手になりたい――野球少年であれば、一度は思い描くであろう夢を中学生まで抱いていた。なぜ諦めてしまったのか。「なれるわけがない」「才能が無い」「〇〇の方が上手い」など、親やチームメイトに言われ、次第に自分も「みんなが言うんだから、そうなのだろう……」と思うように。

 とはいえ、結局は「周りがどうこう言っても知ったことか。プロ野球選手にオレはなる!」とマンガやアニメの主人公のように言えるほどの想いを持っていなかった。それが夢を見続けることができなかった一番の原因なのだろう。

 夢という、ちょっとくすぐったいテーマで始めたのには理由がある。それは現在絶賛放送中のオリジナルTVアニメ『宇宙よりも遠い場所』(通称、よりもい)が、まさに周囲から「無理だ」といわれた夢を女子高生4人が叶えるという内容だから。どんな夢なのか、それは宇宙よりも到達困難という“南極”に行くことだ。

 ちなみに本作は監督・いしづかあつこ、脚本・花田十輝、アニメ制作・マッドハウスという、人気アニメ『ノーゲーム・ノーライフ』のスタッフが結集し、作られた作品。番組開始前の「冬アニメ期待値ランキング」(アニメ! アニメ!調べ)では第3位と話題性も高く、カラオケ パセラや横浜八景島シーパラダイスなどでもコラボ企画が実施されるなど、多くのアニメファンに愛されている。

 そんな今期の話題作がコミカライズされたのが『宇宙よりも遠い場所 1 (MFコミックス アライブシリーズ)』(宵町めめ:著、よりもい:原著/KADOKAWA)だ。アニメ作品は、何かを始めたいと思いながらも、何もできずに高校2年生になってしまった主人公・玉木マリ(キマリ)の視点で話が進行していく。だが、本書ではもう一人の主人公・小淵沢報瀬の視点で二人の出会いが描かれている。

 もともと、南極に行きたいという夢を持っていたのは報瀬。周囲からは「無理だ」と言われるも諦めず、いずれ必要になるであろう資金を集めるためにバイト三昧だった。ひょんなことからキマリは報瀬の夢を知り、共に南極へ行くことに。キマリが決意を固めたのが、報瀬の「絶対に行って、無理だって言った全員にざまあみろって言ってやる」という一言。揺るぎない決意が感じられ、周囲の心無い声が逆に原動力となっているようだ。この強さや姿勢に学ぶべきことは多いはず。

 また、ストーリーはさることながら、それ以外の細かな描写も面白い。南極観測船の人員搭乗や補給はオーストラリアのフリーマントルという街で行われる、南極の氷を砕いて進む「砕氷船」は一度氷の上に船体を乗り上げ、船の自重で氷を砕く、などなかなか知ることができない知識を楽しみながら得ることができるのも魅力の一つかもしれない。

 夢は誰でも見ることができるが、夢を実現することができるのはほんの一握りだ。どうすれば叶うのか、その方法はわからない。しかし、報瀬やキマリの一歩ずつ、着実に諦めることなく進む姿にヒントがあるはずだ。そして、夢を実現させて言ってやろう。「お前には無理だ」「夢なんか叶いっこない」と言った奴らに「ざまあみろ!」と。

文=冴島友貴