春の楽しみ方を動物たちと一緒に見つけよう! 絵本『まちあわせは木のところ』

文芸・カルチャー

2018/3/21

『まちあわせは木のところ』(牛窪良太/白泉社)

『まちあわせは木のところ』(牛窪良太/白泉社)には、大きな木のある場面が繰り返し出てきます。場面は変わりませんが、季節がどんどん変わっていくので、どのページもまったく違って見えるのが面白いところです。その場所は動物や鳥たちの待ち合わせ場所になっていて、季節ごとにさまざまな過ごし方をしていることも分かります。

 春はピクニックをして、夏は水遊び、秋はスケッチをして芸術に親しみ、冬はスケートで大はしゃぎ。季節が変われば、遊び方も変わります。雨がたくさん降る季節は、“外で遊べないからつまらない”と感じてしまうかもしれません。でも、ここに登場するカエルやカタツムリは雨が大好き。たとえ雨が続いても、嬉しそうに顔を出すカタツムリを探して遊んだり、水たまりを覗き込んで遊んだり、楽しいことはいくつもあることが伝わってきました。

 季節の移ろいや動物の生態に基づいた細かい描写も、絵のすみずみまで張り巡らされています。たとえば、木の根元に咲いていたタンポポが次のページで綿になって飛んでいくところや、木の穴から時々ふくろうが顔を出して外を眺めているところ。こういった小さな変化をいちばんに見つけるのは、だいたい子どもたちです。色や形の違いを認識し始めたばかりの我が息子も“見つけっこ”をして遊びました。場面が同じだから、その違いを見つけやすいのでしょうね。

 文章も、「まちあわせは 木のところ。」と繰り返しながら次のページに進めるので、何度も飽きずに読んでいます。語呂合わせのようなテンポ感で、言葉を覚え始めたお子さんなら、すぐに覚えてしまいそうです。音楽好きならラップ風に読んでも楽しいのでは!?

 季節の移り変わりを眺めるだけでなく、1つの絵の中にあるストーリーに想像を巡らせられるのも面白いところ。たとえば、ピクニックの場面で、豚のお父さんは片手に持った花を後ろに隠しています。もしかして、お母さんへのお花のプレゼントを集めていたから、待ち合わせに遅れてしまったのでしょうか?

 そして、最初の春のページでまだ赤ちゃんだったきつねの子どもは、次に巡ってくる春の場面ですっかり大人に。子どもたちも、季節ごとにさまざまな経験を重ねて、次の季節がやってきた時には1つ大人に近づくのでしょう。新しい春がやってくるこの季節に、読み聞かせてあげたい絵本です。

文=吉田有希