雪深い田舎町で起きた惨劇を描いた『ミスミソウ』。いじめや復讐をテーマにした衝撃作にこめた、押切蓮介の想い

アニメ・マンガ

2018/4/1

『ミスミソウ』(押切蓮介/双葉社)

 2018年4月7日(土)に公開される映画『ミスミソウ』。これは押切蓮介さんの同名マンガを原作としたものだ。はっきり言って、この作品が実写映画化されると聞いたときは、「まさか!」と思った。いや、正確に言うならば、実写化してもらいたいとは思いつつ、「無理だろうな」と感じていたのだ。このご時世、こんなにも残酷で胸を抉るような作品が映画になるなんて、と。

 著者である押切さんの名前を世間に知らしめたのは、『ハイスコアガール』(スクウェア・エニックス)だろう。これは、1990年代のアーケードゲームブームをテーマにした、ボーイ・ミーツ・ガールもの。ゲームを通して思春期の男女が心を通わせていく描写は、読者に青春時代を思わせることに成功した。押切さんはこの作品以外にも、自身の子ども時代をゲームとともに振り返った『ピコピコ少年』(太田出版)シリーズも手掛けており、彼のなかでは「ゲーム」が創作のテーマになっているようだ。

 そんな押切さんのもうひとつの軸となっているのが「ホラー」だ。『でろでろ』『ゆうやみ特攻隊』(ともに講談社)、『サユリ』(幻冬舎)など、これまでに数々のホラー作品を発表している。しかし、幽霊や妖怪が登場する作品が多い押切さんの作品のなかで、『ミスミソウ』だけは異彩を放っている。本作には「怪異」が一切登場しない。それなのに、どの作品よりも陰惨で恐ろしい。それは「いじめ」という問題を徹底的に描ききっているからだ。

 舞台となるのは雪深い田舎町。本作では、そこに転校してきた少女・野咲春花(のざき・はるか)が、クラスメイトや教師にまで執拗にいじめ抜かれる展開と、それによって引き起こされる惨劇の結末が描かれている。

 繰り返すが、本作に「怪異」は登場しない。しかしながら、春花をターゲットにするクラスメイトたちは「化物」そのもの。醜く歪みきった表情は、どんなものよりも恐ろしい。精神的にくるストーリーテリングはさることながら、人間をこうも恐ろしい化物として描くことができる押切さんの手腕には、さすがの一言だ。ここではあえてストーリーの詳細について伏せておく。それでもどんな物語なのか知りたいという人は、『ミスミソウ』で検索をしてもらいたい。そこに出てくる読者の感想を読めば、いかにこの作品がすごいものなのか理解できるだろう。

 押切さんはなぜ、このような衝撃作を描こうと思ったのか。作品を通じて、どんなことを訴えかけたかったのか。それを知るため、多忙な押切さんに質問状を送ることにした。すると、なんと直筆にて返答をいただくことに成功したのだ! あまりメディアに露出することのない押切さんの直筆メッセージは、非常に貴重なもの。そこで最後に、その全文をそのまま公開して、本作の紹介を終えようと思う。

文=五十嵐 大