競争はないほうがいいって本当? 社会を衰退させるかもしれない「競争嫌い」への疑問

社会

2018/4/16

『競争社会の歩き方 自分の「強み」を見つけるには』(大竹文雄/中央公論新社)

「運動会の徒競走でみんな手をつないでゴールする」という取り組みをした小学校の話をどこかで耳にしたことがある。理由は「競争を避けるため」だったと思う。たしかに「競争社会」にはネガティブなイメージが含まれている。みんなが厳しい目つきをして、我先にと他人を蹴落とし、足を引っ張り合い、格差が生まれる……そんなイメージがある。

『競争社会の歩き方 自分の「強み」を見つけるには』(大竹文雄/中央公論新社)は、そういった「反・競争的」な考え方に疑問符を投げかける一冊だ。「競争はないほうがいいって本当――?」をキーワードに、競争社会の仕組みやメリットを明かしていく。

■はたして「反競争的教育」の効果は?

「競争」よりも「協力」を重視する教育は存在する。たとえば成績の順位をつけない、運動会で徒競走を種目に入れない、あるいは徒競走を入れたとしても順位をつけない、といったものだ。そういう教育を受けた子どもたちは、一体その後どう育ったのだろうか。

 ある研究では、驚くことに、反競争的な教育を受けた人たちは「協力することに否定的」になったという。「利他性が低く、やられたらやり返す」という価値観をもつ傾向が高い。教育側が意図したこととは反対の結果になっているのだ。

■競争をすることのメリットはどこにある?

 一方、競争にはメリットが存在する。激しい競争に身を置くことで、自分の強みを見つけることができるのだ。競争にはたしかにシビアな面がある。しかし競争によって、自分がどこで活躍できるかという、「自分の人生を懸けられる場所」を見つけられる可能性がある。得意・不得意は誰にでもあるものだ。不得意な場所で消耗戦を続けるのは不利益であろう。たしかに、短所を伸ばすよりも、長所を伸ばしたほうが、利益が生まれそうだ。「誰にも負けないものがある」という自負によって自尊心も高まるだろう。

■競争は社会へメリットをもたらす。その理由は――

 経済活動においては、競争が行われる結果、消費者はよりよいサービスと商品を受けることが可能になる。生産物の品質向上、価格低下などのメリットだ。

 就職活動で「もう競争はこりごりだ」と思っている学生は多いだろう。しかしながら、これもまた「競争によって強みを見つける」場なのだ。個人も企業も、競争をただ避けようとするばかりでは、社会は全体的に衰退してしまう。もちろん、弱者への配慮は必要なことだが、競争が持つメリットにもきちんと目を向けるべきである。

 失われた20年とも30年ともいわれたこの時代、社会のなかで「自分の強みを見つける」ことは、大きな変革になるのではないだろうか。苦手な部分を伸ばす教育を多く受けていると「平均的なことが良いのだ」という価値観を持ってしまうことにつながりかねない。それでは個人の活躍の機会をも奪ってしまう。「競争をすることの良さ」を客観的に見つめることが、これから個人にとっても社会にとっても必要であろう。

文=女生徒