フォロワー数だけでは真のインフルエンサーにはなれない!? ——本当の影響力の鍛え方

ビジネス

公開日:2018/4/18

『影響力の鍛え方』(芦名勇舗/かんき出版)

「起業」や「フリーランス」という言葉が多く聞かれるようになってきた今、どのようにすれば影響力というものを手に入れられるかを日々考えている人も少なくないだろう。そんな方に紹介したい1冊がある。『影響力の鍛え方』(芦名勇舗/かんき出版)は、影響力を手に入れたくてもうまくいかない人が陥りがちな思考や行動と、そこから脱却し正しい方向へと自分を導く方法をみなさんに伝授している。本稿では、その一端を垣間見ることとしよう。

■「やりたいこと」で稼ぐ前に「できること」で稼げ

昨今の世の中には、やりたいことでお金を稼ぐにはどうしたらよいかということにしか思索を巡らせない人が多い、と本書の著者である芦名氏は言う。考えてみてほしいのだが、自分が稼ぐお金をもたらしてくれているのは、常に消費者である。消費者がなぜお金を払って、財やサービスを買ってくれるのかといえば、それは消費者自身がそれらを使ってみたい、試してみたいと思っているからであろう。そんな消費者のことも顧みずに、自分のやりたいことだけで稼ごうとして失敗するのは当然の帰結といえよう。

そこで、芦名氏が提案するのが、「やりたいこと」で稼ぐ前に、「できること」で稼ぐことである。成功者、特に自分の名前を使って成功している人の多くは、自分にできることで消費者を喜ばせられることに取り組み、そのあとで、自分のやりたいことを仕事や趣味にしているという。

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お金を稼ぐには人を集めなければならないが、そのためには人を喜ばせなければならない。自分のやりたいことが、市場の求めるものと必ずしも合致するというわけではないから、市場の需要に応えることができ、かつ自分にできることを行う。このような思考が身についている人こそが成功者になれるのである。

■自分の名前で食っていく人は、「価値観の自己紹介」をして信頼を勝ち取る

それでは、自分の名前で食っていくことのできている人は、どのようにして人々の信頼を勝ち取っているのだろうか。これについて、本書に即して考えてみよう。

消費者がお金を払って生産者が作り出した財やサービスを購入しているのは先ほど述べたとおりだ。しかし、当の消費者は、専門家ではないので、自身にとって何がいいもので何が悪いものかということは、実はよくわかっていない。

ここでビジネスパーソンがするべきことは、売り手である自分について本音で話すことだ。これまで何をしてきて、いま何を考えていて、これからどうするつもりなのかを、消費者に知ってもらえれば、そこに信頼関係が生まれるのだという。芦名氏はこのアクションを「価値観の自己紹介」と呼んでいる。この「価値観の自己紹介」がしっかりできれば、この先自分の名前で食っていくための礎を築いたことになるだろう。

本書には、ほかにも自分の名前で食っていくためにカギとなる考え方が詰まっている。これから独立して自分の会社をもちたい方、就職活動の真っただ中だが企業に就職して一生をその会社で過ごすことに疑問を抱いている方など、影響力を鍛えたいと思うみなさんにおすすめの1冊だ。

文=ムラカミ ハヤト