乗り遅れ厳禁。株価の上昇はこれからが本番! デフレからインフレの流れに備えよ

暮らし

更新日:2018/5/14

『株の暴騰が始まった!』(朝倉 慶/幻冬舎)

「戌(いぬ)笑う」とは相場が活気づくことをいう相場格言である。今年2018年はまさに戌年。今年最初の取引では日経平均741円高という驚異的な数字を出した。

「ところが日本では、株高で浮かれるような気配はまったくありません」と語るのは経済アナリストの朝倉慶氏。著書『株の暴騰が始まった!』(朝倉 慶/幻冬舎)のタイトルをよく見ればわかるが、タイトルは決して「暴“落”」ではなく「暴“騰”」だ。

 本書制作の作業を進める段階で、ほとんどの関係者が「暴“落”」だと間違えて認識していたそう。 ではこの「暴騰」にどう対応すればいいのか。そのヒントとなるポイントをいくつか紹介したい。

advertisement

■株高は日本の国策。だから乗り遅れるな!

「株高は日本の国策であり、デフレからインフレに持っていくために、政府も日銀も必死になっている」と著者。

 しかし日本人の多くは株高に対して「何かがおかしい」「バブルだ」という感情を抱くそう。バブル崩壊後、個人投資家は27年にわたり一貫して株を売り続けている。なぜなら日本人の大半は、株式市場の低迷に懲りて、「株嫌い」になっているのだ。 だが、いまのこのチャンスを逃してはならないようだ。

■株を持たない人に未来はない!

 著者は「株を保有していない人には未来はない!」と言う。いざインフレ率が上昇しても、日銀は量的緩和政策を突如やめることはできない。国債の買い手は日銀だけだ。日銀が国債の購入をやめれば、誰が国債を購入するのか。日銀は結局、国債の購入を少しずつ減らすことしかできない。いざ現金の価値が目減りするときに株式を買おうとしても現在よりはるかに高くなっていて、手が出せないのだ。

■リーマン・ショックの再来はありえない

「リーマン・ショックの再来はありえない」という。当時、彼はリーマン・ショックを正確に予測していた。そのとき、「米国の銀行はほとんど倒産状態だ」という予想が的中した。

 しかしながら現在は米銀の財務体質はかつてないほど盤石だという。さらに、日本の銀行も同様にかつてないほど盤石だ。そのため著者は、「リーマン・ショック」という言葉が現在、実態をよく知らないで多用されている事実を危惧している。

■老後を支える年金のこと、知っていますか?

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、今回の株価の上昇を受け、莫大な利益を得ることができた。老後を支える年金基金の50%は、株式投資によって運用されている。GPIFが運用資産の50%を株に投資しているのは、おかしなことではなく、世界的なスタンダードだという。運用がうまくいっている今を逃すのは惜しい。著者は「間接的かもしれませんが、あなたも株高で恩恵を受けている一人なのです」と語る。

 朝倉氏は現在の日本の株に対するムードを憂慮している。日本は空前の株高にもかかわらず、「株ムード」とまったく無縁だという。日本人の「株売却ブーム」は止まらず、マスコミや多くの知識人も株高に批判的だ。「資産がどうなるかは、現段階での、みなさんの行動次第なのです」と著者が語るように、投資に対する考え方を変えるのはこの“暴騰”の時期がベストかもしれない。

文=ジョセート