「ここはどこ?=Where is here?」は間違い!? 多くの日本人が勘違いしている英語の常識

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更新日:2018/5/8

『日本人の9割が知らない英語の常識181』(キャサリン・A・クラフト:著、里中哲彦:訳/筑摩書房)

 英語は、今や必須教養の一部になりつつある。それにともない、英語を学ぶ機会は増えてきた。しかし一方で、多くの日本人が「こうだ」と思っている英語の常識の大半は間違っているかもしれないというのだ。そういった多くの日本人が勘違いしている英語の常識を教えてくれるのが『日本人の9割が知らない英語の常識181』(キャサリン・A・クラフト:著、里中哲彦:訳/筑摩書房)である。

 たとえば「ここはどこですか?」と訊きたいとき、英語では何といえば良いだろうか。おそらく多くの人は「Where is here?」と答えるだろう。しかし、実は「Where is here?」では不正解なのだ。ネイティブの英語ではこの場合「Where am I?」もしくは「Where are we?」という。自分(人)の居場所をたずねているわけだから、I・Weといった人を表す言葉が主語にくるのだ。ちなみに、「Where is here?」が使える場面もある。これは、「Where are you?(どこにいるの?)」「I’m here.(ここにいる)」「Where is here?(ここってどこ?)」という文脈なら使用可能だ。日本語の感覚では「ここはどこですか?」も「ここってどこ?」も同じようなニュアンスに聴こえるかもしれないが、英語ではこの2つは全く異なる状況を指している。英語圏で通りすがりの人に「Where is here?」とたずねても「何のことをいっているの?」と首を傾げられること請け合いなので、気をつけよう。

 次は「急用が入ってしまったので、ちょっと遅れます」と英語でいいたい場合だ。急用は英語で何というだろう。実はこれも多くの人が答えるだろう「a sudden job」では不正解だ。そのため、「I got a sudden job. I’ll be a little late.」ではこちらの伝えたいことを正確に伝えられない。ではネイティブの英語は何というのかというと「Something has come up, so I’ll be a little late.」である。ちなみに、「come up」は(問題や困難が)突然起こるという意味となる。文例を挙げるなら「I didn’t go to the party because something came up.(急用ができたのでパーティには行けなくなった)」などだ。ここで不正解となる「I got a sudden job.」を使ってしまうと、ネイティブには「新しい仕事についた(I got a new job.)」と勘違いされてしまうらしい。そのため「I got a sudden job. I’ll be a little late.」は「新しい仕事についたのでちょっと遅れます」という意味になる。なるほど、これでは意味が通じるはずもない。「急用が…」という伝える機会は仕事やプライベートでもあるので、ぜひ「Something has come up, so I’ll be a little late.」の方を覚えておきたいものだ。

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 最後に「うまくいくように願っているよ」というセリフの英訳について紹介しよう。このセリフをいいたい場合は「I wish it goes well.」では通じない。ネイティブの英語では「I’ll keep my fingers crossed.」と表現する。なぜかというと「I wish~」で始まる文は基本的に実現不可能なこと、今更いってもどうしようもないようなことを指す場合に使うからだ。たとえば「I wish I knew her contact information.(彼女の連絡先を知っていればなぁ)」などである。ちなみに「I’ll keep my fingers crossed.」でなぜ指(fingers)をクロスさせるという表現を使うのかというと、これはネイティブがこの言葉を使う際によくするハンドサインを表しているのだ。ネイティブは「うまくいくといいね」という際、人差し指と中指をクロスさせて十字架に似た形を作る。これは相手の幸運を願うハンドサインで、ちょうど日本における親指をたてるものに近いニュアンスといえるだろう。「うまくいくように願っているよ」の英訳である「I’ll keep my fingers crossed.」については「指をクロスさせる」と覚えるといいかもしれない。

 言語とは、そのままその言語圏の文化に直結している。そのため、日本文化の感覚で英語(文化)の読解を試みると必ずどこかで勘違いやすれ違いが生まれてしまう。英語の常識に対して、日本人の感覚はほとんど通用しないのだ。本書では、今まで信じていた英語の常識が覆る驚きを味わうと同時にネイティブの英語表現を学ぶこともできるので、仕事などで英語を学ぶ必要がある人にはうれしい一石二鳥が待っているだろう。

文=柚兎