反論が苦手、空気に流される、でも後で悔しくなる。そんなあなたに送る、上手に意見を言う方法

ビジネス

2018/5/11

『反論が苦手な人の議論トレーニング(ちくま新書)』(吉岡友治/筑摩書房)

 あなたは会議や議論の場でどんな立場にいることが多いだろうか。意見を言えなかったり、その場の空気に流されるままだったりしないだろうか? ましてや「反論」をうまく言おうだなんてもっての外かもしれない。

『反論が苦手な人の議論トレーニング(ちくま新書)』(吉岡友治/筑摩書房)では、議論の場において、きちんと自分の言葉で反論する技法が紹介されている。反論をするには、用意する題材や内容が反論としてしっかりと成り立っていなければならない。本書によると、主張をチェックするときのメインポイントは「根拠」の部分にあるという。

 そもそも、議論というものは「答えがない」ところから始めるものである。最初から答えが分かっていれば議論する必要はないからだ。だが無闇に「正解がどこかにあるだろう」と探し求めるのは時間の無駄だ。そのかわりに「こう考えるのは自然だろう、きっとこう考えれば無理がない」という材料を探す。つまり、主張が「妥当である」といえる材料を用意するのだ。

 では、妥当かどうかの判定基準は何だろうか。それは「相手からのツッコミに対する応答」のクオリティを見れば良いという。ツッコミに対する応答こそ、根拠になる部分だ。

 しかしながら、クオリティを評価するには、聞き手のレベルも問われる。偉い人が何かを言っただけで「なるほど」と賛同してしまう人もいれば、おもしろいエピソードで安易に納得してしまう人、あるいは難しい理論に付いていけない人もいるかもしれない。相手のレベルをどう想定するかによって、どういった根拠を選んで提示するか工夫しなければならない。

 代表的な根拠としては「(1)理由」「(2)説明」「(3)例示」の3つがある。もし小学校に通う子どもに「勉強なんて何の役に立つの!?」と反抗されたら、あなたはどうやって「勉強は役に立つんだ」と説得したらいいだろうか?

 本書に従うと、答えはこうだ。

(1)世間には人を騙してお金を取ろうとする人もいっぱいいる(→これが理由

(2)騙されないためには、相手の言葉をすばやく理解し、すぐに計算ができて、それが常識的におかしいことじゃないかどうか判断できなければならない。つまり、国語と算数と社会ができなくてはいけない(→説明に相当)

(3)電話が掛かってきただけでお金を振り込んで大丈夫かな、そうだ息子に直接確認してみよう、と考えられれば良い(→例示の部分)

(4)そのとき役に立つのが勉強。よし、がんばろう!(→納得に至る)

「(1)理由」は主張が正しいとサポートする部分だ。「(2)説明」は「理由」を詳しく言い換えて主張に繋げる。「(3)例示」は具体例やデータを用いて、現実にそのような事象があることを表す。

 こういう流れをベースに、相手のレベルや傾向に合わせた議論を行えば良い。ポイントは、あらゆる手を使って相手から「納得」を引き出すことだ。

 場の空気を読むのも大切だが、過剰に相手に合わせていては自分の主張ができない。だからといって空気を無視しても場に受け入れてもらいにくいだろう。きちんと主張を組み立て、準備し、適度な距離感で臨む姿勢が、社会人の議論に求められることではないだろうか。

文=ジョセート