この1冊で女性の生態がわかる? 益田ミリの『やっぱり、僕の姉ちゃん』
公開日:2018/5/16
男女がわかりあえないのは、脳に構造の違いがあるからだと言われている。一説によると、女性の方が左右の脳を結ぶ脳梁が太いため、右脳と左脳の情報を交互に操りながら同時に処理することができるらしい。ただ、はっきりとしたことは未だに判明されていないそうだ。
益田ミリさんの『やっぱり、僕の姉ちゃん』(マガジンハウス)は雑誌『an・an』で大好評連載中の会話コミック。2人暮らしのアラサーOLの姉・ちはると新米サラリーマンの弟・順平が繰り出すトークからは、恋と人生を深く考えさせる名言が数多く飛び出す。『僕の姉ちゃん』『続・僕の姉ちゃん』に続く第3弾も変わらないやりとりを拝むことができる。
本書の舞台のほとんどはリビングのテーブル。向かい合った姉ちゃんのちはると弟の順平は毎回、何気ない会話を繰り返す。
「人生で一番大事なことってなんだろう?」「生きてることじゃないの」
「順平、女に無意識などない」
「なんかハマっているものあるの?」「あたしはあたしにハマってる」
そんな唯我独尊の姉ちゃんだが、かわいらしいオンナノコを感じさせる瞬間も垣間見える。
「なんにでもなれるとしたらなにがいい?」「今好きな人の好きな人」
「デートでつれてってもらった店でさーあの店を超える店って一生ないと思う。中学んときセンパイと行った駅前のロッテリア」
「高校んとき、ノートのお礼にって好きな男の子からもらった、あのときの『きのこの山』信じられないくらいおいしかった」
スイーツに目がなく、狙った男は計算に計算を尽くして落としに行く。そんなちはるを順平はイジられながらも、温かい目で見守る。よくよく読み進めていくと、ちはるの発言はどこまでもオンナノコなのだ。
抜けた感じのタッチで描かれているコミックであるが、人生訓や恋愛訓が詰まっている。例えば、好きな女性がいるけど告白ができない。人間関係に悩んでいるけど打開ができない。生活に行き詰まりを感じていてどうしようもない。そんなときにこの本を読んでみたらいいと思う。大いにというわけではないが、こっそりと世の男性たちにお勧めする。
文=梶原だもの
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