「おばさん」にはない「ババア」の魅力

文芸・カルチャー

2018/5/21

『ババア★レッスン』(安彦麻理絵/光文社)

 毎年、誕生日が来れば問答無用で歳ばかりとってくなかで「私はどんな歳の取り方をすればいいのかしら」なんて、考えることが増えた今日この頃。そんな迷える女性たちに“イカしたババア”になる方法を伝授してくれるのが、漫画家でエッセイストの安彦麻理絵さんの新刊『ババア★レッスン』(光文社)です。

 同書は、48歳を迎えた著者がババアの魅力について考察したり、「レジェンドババア」に取材し、イカしたババアへの道を極めていくエッセイ集。安彦さんは「おばさん」ではなくあくまで「ババア」になりたい、と感じているのだとか。

「私が思うに、なんかやっぱり『おばさん』ってつまんなそうなんですよね。世間体とか常識にうるさそうな気がしちゃうし。
 けれど、一方『ババア』の方は、
 なんだろう、何か人間的なおもしろみ、そして自由を強く感じる」

 と、ババアの魅力を語り、後の章でも「ああ、『ババア』という、この図々しい響き。なかなかに愛おしい」と、その素晴らしさを絶賛しています。たしかに「ババア」という言葉からは、豪速球のような勢いを感じます。ババアの魅力のひとつは、その語感にあるのかもしれません。

■安彦さんオススメの“ババア映画”

 この『ババア★レッスン』には、安彦さんオススメのババア映画を綴るコラムも収録されています。まず「一番目新しいババア映画」として紹介してくれたのは2015年公開の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。荒廃した世界を舞台に、強烈なキャラクターが次々と登場する作品なのですが、ヒロインの味方として物語の折り返し地点で現れる「鉄馬の女たち」が「バイクに跨ったババア達」だったことに、著者は笑撃を受けます。

「この映画の中には『人喰い男爵』だの『武器将軍』、『乳母係の女』やら『子産み女』などなど、他にも、果てしなくとんでもないキャラクターが登場するのだが、『ニケツ暴走ババア』もそのトンデモ枠のひとつ、という事なのだろうか?」

 筆者もこの作品を拝見したことがあるのですが、安彦さんのおっしゃる通り、ほかのキャラクターに比べると地味な見た目なのに、一度見たら忘れられないほどのインパクトがあります。あの迫力は「ババア」にしか出せない……!

 このように、映画や本、着物、毒蝮三太夫(マムちゃん)など、さまざまな方法でババアへの道を模索する安彦さん。最後に憧れのレジェンド・ババアことDJスミロックさん(81)への取材を敢行し、スミロックさんのケタ違いのレジェンド・ババアぶりに圧倒されるようすも必見です。

 これからの人生、イカしたババアになるのか卑屈なおばさんになるのか『ババア★レッスン』を読めば、何かしらの答えが見つかるかも?

文=丸井カナコ(清談社)