海の水はなぜしょっぱいのか? 誰かに話したくなる理系雑学

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更新日:2020/5/11

 我々が日頃、ネットやテレビで見聞きしている情報には、ほとんどといっていいほど理系に関するものが含まれている。これは、「サイエンス」は人々の好奇心を刺激するのはもちろん、モノや医療、食など、いずれもが理系分野を下地に成り立っているという現実があるからだ。この春刊行された『人類なら知っておきたい 地球の雑学』(KADOKAWA)は、思わず誰かに話したくなる、そんな「理系雑学」をふんだんに収録した一冊だ。


 今回の記事では、我々にとってもっとも身近な調味料といっていい「塩」にまつわるとっておきの理系雑学を紹介しよう。ふだんは意識したりしないけれど、誰もがみな「そもそもなんで?」と思っていることに違いないはずだ。

■海水が塩水であるワケ

 海の水がしょっぱいのは、子どもでも知っている。しょっぱさの正体は、塩素とナトリウムが結びついた塩化ナトリウム、つまり「塩」である。

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 塩化ナトリウムは食塩の主成分で、海水からつくった塩は古くから食用にされてきた。海水の塩分濃度は3.5パーセントで、なめてみるとかなり塩辛いことがわかる。

写真:KADOKAWA

 では、なぜ海水に大量の塩化ナトリウムが含まれているのか。これにはさまざまな説があるが、二つに大別できる。

 一つ目が、地球に海ができた直後からしょっぱかったという説。およそ46億年前のできたばかりの地球は、熱い溶岩のかたまりで海もなかった。それが、次第に温度が下がり、空気中の水蒸気も冷えて雨が降るようになった。雨は空気中の塩素ガスを溶かして流れ、塩素を含んだ水が大地にたまった。

 また、この頃の大気は、火山から噴出したガスで満ちていたが、火山ガスを含んだ雨は、岩を溶かす力もとても強い。そのため、岩石や土に含まれているナトリウムが溶けて海に流れ込み、塩素と結びつくことで塩化ナトリウムを含んだ海ができたというのだ。

 もう一つが、地球に陸ができてから徐々にしょっぱくなったという説。地球に陸ができたのはおよそ27億年前で、陸地の岩や土に含まれていた塩素やナトリウムが雨によって溶け出し、海まで運ばれた。海水が太陽に照らされると、水分だけが蒸発する。これが何億年も繰り返されるうちに、塩分濃度が徐々に濃くなったというのだ。

 現在では、これら二つの説の両方が相まって、海はしょっぱくなったと考えられている。海の水は常に蒸発しているが、それがまた雨になり、川になって海に戻るため、地球に生物が出現して以来、塩分濃度は変わっていない。