部屋着は寝間着じゃない! 寝苦しい季節をスマートに乗り切るパジャマ選び【大人の着こなし考】

暮らし

公開日:2018/6/23

 そろそろ本格的に寝苦しい夜がやって来ます。接触冷感素材を用いた「ニトリ」の「Nクール寝具」の売上が好調という話も聞きます。静音性の高い扇風機を活用するなど対処法はいろいろとありますが、パジャマ(寝間着)を工夫することで睡眠の質を上げることもできるはずです。一度、真剣に向き合ってみるのはいかがでしょうか。

■“パジャマに着替える”ことで睡眠スイッチをONに

 着替えるのが面倒でルームウェア(部屋着)のまま寝る人も少なくないので、まずはパジャマの必要性から考察。一般的には、パジャマに着替えた方が快眠につながると言われています。その根拠は“睡眠スイッチ”や“スリーピング セレモニー(入眠儀式)”と呼ばれる効果。就寝前に“パジャマに着替える”というルーティーンを行うことで、自動的に身体を睡眠モードへと切り替えることができるのです。寝付きの悪さで悩んでいるのであれば、改善効果を期待できるでしょう。

 もちろん、パジャマは睡眠時にも効果が得られます。その効果を最大限にするために、「吸汗速乾性」「安らげる質感」「寝返りのしやすさ」などの要素が求められます。

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 人間は睡眠時にコップ1杯以上の汗をかくと言われています。吸汗性や速乾性は欠かせません。高級なパジャマに使われることが多いシルクは、コットンの1.3倍ほどの吸水性、1.5倍ほどの放湿性を持つと言われています。しかも、滑らかで上質な触感。大人のパジャマに最適な素材のように思えます。

 ただし、シルクはコットンなどと比較してケアが面倒です。家庭でも洗えるシルク「SHIDORI」を使ったパジャマなどの選択肢もありますが、やはり高価なもの。生地を傷めないように気を使って安らげないとしたら本末転倒です。

 吸汗速乾性に注目するなら、クールマックスなどの高機能素材も見逃せません。毛細管現象を活用したクールマックスはコットンの5倍の速乾性を実現したと言われていますので、汗をかいてもドライな状態を保ってくれます。天然素材をブレンドすることで質感にこだわったタイプのパジャマもありますので、有力な候補に挙げられます。

 また、「ユニクロ」のエアリズムもクールマックスに匹敵する速乾性を備えています。素材の研究にも余念がなく、なめらかな肌触り、消臭機能、ストレッチ性、接触冷感効果なども備えています。パジャマに最適な高機能素材ですが、残念ながらエアリズム製のパジャマは販売されていません。ルームウェアセットなどを活用すると良さそうです。ルームウェアは原則として、動きやすくてリラックスできる作り。布団などに引っかかる生地感でない限り寝返りもしやすいので、ドライ機能などがあればパジャマとして適しているように思えます。

■パジャマスタイルは掘り下げる価値あり。まずはリーズナブルなものから

 その一方、ルームウェアとパジャマの違いもあります。パジャマに襟付きのタイプが多いのは、首周りの汗が枕や布団などに付着しないように配慮しているのが理由。襟元を広くすることで通気性を高める効果も望めます。ただし、枕カバーやシーツを頻繁に交換しているのであれば、パジャマではなくルームウェアでも大きな問題はなさそうです。高機能なルームウェアをパジャマ専用として任命すれば、睡眠スイッチも発動するでしょう。

 実はパジャマに関しては、ここで書き切れないほどの選択肢があります。触感の好みや肌との相性、アレルギーなども関係してきますし、寝室や寝具などの状況も人それぞれのため、残念ながら“誰にとってもベスト”と言えるパジャマは存在しないのです。

 そこで、リーズナブルなパジャマから実証実験を始め、快眠効果が実感できる方向性を定めて徐々に究めていくのがもっとも合理的なパジャマの探し方だと思われます。ちなみに「ジーユー」なら1500円以下でコットン100%素材のパジャマが手に入ります。そんなパジャマから試してみてはいかがでしょうか?

 試行錯誤は面倒、夏に向けてとりあえずひたすら涼しくしたい!というのであれば、パジャマも寝具も接触冷感タイプを選ぶ手もあります。不具合が出たらアップデートしながら、いつでも快眠できる自分だけのパジャマスタイルを確立してください。

文=citrus 「着こなし工学」エバンジェリスト 平格彦