「成長」するコツ、知ってる!? 幸せに生きるために知っておきたい「成長の原理原則」とは?

暮らし

公開日:2018/6/28

『成長マインドセット 心のブレーキの外し方』(吉田行宏/クロスメディア・パブリッシング)

 私たちの体は特に気遣うことがなくても、食べて運動することで、年齢とともに成長していく。その一方で、人間的な成長や心の成長に関しては、家庭、学校、会社、社会など、年齢に応じた人間関係を重ねる中で、いわばOJTのように各自で体得しているのが現状だろう。

 もし、人間的な成長に原理原則があり、それを知ることで、自分の人生を豊かで幸せなものにできるのなら、ぜひ教えてほしい、と思う人は多いはずだ。

 そんな方々におススメしたいのが、『成長マインドセット 心のブレーキの外し方』(吉田行宏/クロスメディア・パブリッシング)である。

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 著者の吉田氏は20年以上、成長関連のワークショップを行い、人材教育に携わってきた「成長」のプロフェッショナル。本書は、そんな著者が体得した、自分を「成長」させる原理原則、成長を阻害させる要因である「心のブレーキ」、そして成長を促進させる「心のアクセル」の3つのポイントを中心に、「バーのマスターと悩める会社員の対話形式」で、成長についての考え方やメソッドを、豊富な図解と共にわかりやすく紹介している。

 まず著者は、氷山を使った「アイスバーグモデル」で、成長の本質をこう説明している。

水面下の最下層にあって、その人の成長の土台となる要素が「意識・想い・人生哲学」。その上に「ふるまい・習慣・行動」、さらにその上に「能力・スキル」の層が重なり、以上の三層が水面下にある。

 これらが成長の基礎となる要素だ。

 そして水面に顔を出しているのが仕事の結果などの「成果」というのが、成長の本質を示す図だ。つまり、成果の部分をより大きくするには、「能力・スキル」だけを磨くのではなく、その下の層にも磨きをかけて厚みを出すことが求められるのである。

 そして著者が本書で特に詳細に多くの情報を提供しているのが、成長を阻害する要因となる「心のブレーキ」である。

 例えば、給与や、やりがい、上司や同僚との人間関係、プライベートの充実や健康状態など、私たちにはいろいろな要因の悩みがある。そんな悩みを吐露するお客である会社員に対して、バーのマスターは本書でこう語りかける。

「そして大抵の人が、その悩みの状態がはっきりされないまま、半年、1年、2年と結構長く続いていますよね。この期間は、(成長に必要な心の)アクセルだけを踏んでいる状態より、確実に目的地に着くのが遅くなりますよね」

 こうした対話の中で、本書では、第1段階の「ブレーキの存在を知る」から始まり、5段階で悩みを減らして「心のブレーキ」を外す方法が明かされていく。

 さらに別の章では、「心の支えとなる言葉」「モチベーションの捉え方」他、さまざまに「心のアクセル」を踏み込むヒントがちりばめられている。

 本書に登場する会社員が感じているモヤモヤした感情は、とても等身大で共感しやすいものが多い。そして、会社員の疑問に応えるマスターの解説に、腹落ちしている自分に気づく。本書を読み進めるうち、いつの間にか自分の軸らしきものが見え、成長に対しての心構え、判断基準=マインドセットがイメージできるようになっている。

 これからの人生が楽しみになる1冊だ。自分のことだけでなく、上司として部下と向き合う人にも読んでほしい。

文=水野矩美加