一生懸命伝えようとしたのに…。「わかりにくい説明」になってしまう3つの原因とは?

ビジネス

2018/7/31

『一番伝わる説明の順番』(田中耕比古/フォレスト出版)

「説明する」ということの難しさを感じる場面はないだろうか。人は十人十色だからこそ、自分の頭の中にあるものを相手の頭の中に伝えるという行為は時としてかなり厄介な作業となる。特に営業職の方などは、その商品のプロとしての知識をまったくの素人である顧客に理解してもらい、その上で長所を感じてもらわなければならない。冷静に考えてみると、これはかなりすごい仕事だ。

「難しいことをわかりやすく話す」というのは、賢い人であれば皆ができるというわけでもないらしい。学生時代を振り返ってみても、専門知識は豊富だが説明がわかりにくい先生はごまんといた。

 たかが説明、されど説明。そんな奥深くて難しい「説明」の技術が明かされた本、『一番伝わる説明の順番』(田中耕比古/フォレスト出版)は、「何をどの順番で話すか」を意識するだけで、その説明の結果・評価・印象が劇的に変わると説く。

 本書の著者は、アクセンチュア株式会社、日本IBM株式会社を経て、現在株式会社ギックスの取締役を務める現役の戦略コンサルタント。そんなプロが解説する、相手の頭を整理しながら伝える技術や、自分の思考をまとめる技術を磨くためのおもしろく実践的な内容を本稿ではご紹介したい。

■「残念な説明」になってしまう3つの原因

「説明がわかりにくい大学教授」が大勢いるように、賢い人でも説明が上手くない人は多い。しかし、著者がこれまで見てきた優秀なビジネスパーソンは総じて説明上手だったという。確かにビジネスにおいて「説明」は不可欠だ。

 下手な説明は、相手に理解させるどころか、頭を混乱させてしまう。「聞けば聞くほど、よくわからなくなる」「何が言いたいのかさえも、よくわからない」「使っている言葉がわからない」——どうしてそんなことが起こるのか。それは主に、次の3点ができていないからだと著者は説く。

・何をどの順番で説明するのか整理できていない
・説明する相手の理解レベルを意識していない
・自分が何を言いたいのか決まっていない

 これらができないまま説明を始めると、相手はもちろん、自分の頭の中も混乱してしまう。

■「結論から話す」よりも先にやるべきこと

 伝え方や話し方、プレゼンテーションのコツなどといった技術論の中でよく言われるものに、「結論から話しなさい」という教えがある。しかし、説明の「順番」に重点を置く本書は、「わかりやすい説明をするためには、結論を述べるよりも先に“前提をそろえる”ことが重要だ」と説いている。

前提とは何かというと、これから話す内容について、相手がどの程度のレベルの知識を持っているかということです。

 部署内での業務に関する会話であれば、話の前提としての専門知識はある程度共有できているかもしれない。だが、顧客に対していきなり専門用語を交えて話したとしても相手の理解は期待できないだろう。

 会話の前提となる情報をそろえ、相手の理解度と自分の説明のレベルをそろえる。それから、相手や状況に応じて「話の範囲」をそろえることも重要だという。それらを完璧にそろえた上でようやく次にくるのが「結論・主張・本質」なのだ。

 本書は一貫して、「自分が考えた順番」ではなく「相手が聞きたい順番」で説明することに重きを置いている。ひとりよがりな説明が通じず、「理解できない相手が馬鹿なんだ」と思い込んでも、自分は慰められるかもしれないが、少なくともビジネスの成果は上がらないだろう。

 本書が推奨するような、「自分主体ではなく、相手の頭の中を整理する」という精神の説明を実践すれば、プレゼンテーションや営業、会議、報連相などにおいての結果・評価・印象も大きく変わってくるはずだ。また、そうして相手を慮りながら説明ができるような人材は、人としても周囲から大いに好かれるのではないかと筆者は思う。

文=K(稲)