『かいけつゾロリ』待望の新作は、なんと31年ぶりのシリーズ第1作の続編!

文芸・カルチャー

2018/8/4

 子どもたちに圧倒的な支持を受ける、原ゆたかの児童書シリーズ『かいけつゾロリ』。1987年のシリーズ開始以来、30年以上にわたって書き継がれ、累計発行部数は3500万部を超えるというまさに国民的ベストセラーだ。

 その63作目となる最新作『かいけつゾロリのドラゴンたいじ2』(原ゆたか/ポプラ社)が、7月に発売された。これは記念すべきシリーズ第1作『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』の続編にあたる作品。31年ぶりの続編刊行というニュースは、現役のファンはもちろん、かつて『ゾロリ』に夢中になった大人世代も驚かせたはずだ。

 先日、新聞史上にも大きな広告が出たので、それをご覧になった方もいるだろう。並んだ新旧2冊のカバー画像(つなげると一枚の絵になる)に付されたキャッチコピーは、「僕の冒険を君に。私のドキドキをあなたに」。『かいけつゾロリ』の魅力は、親から子の世代へと受け継がれ、今日も新たな読者を増やしている。

「いたずらの王者」を目指して各地を旅するキツネのゾロリと、彼を尊敬するイノシシの双子兄弟・イシシとノシシ。おなじみの一行が今回遭遇したのは、畑で暴れまわる巨大なドラゴンだった。『ドラゴンたいじ』では作り物のドラゴンで大騒動を巻き起こしたゾロリだったが、今度登場するのは正真正銘の生きたドラゴン。偉大な父王のようになりたいと勇敢にもドラゴンに立ち向かってゆく王子・アルゼルに、ゾロリは特別な武器やよろいを作ってやる。そのうちある意外な事実に気がついて……。

 シリーズ第1作の舞台をたまたま訪れたゾロリが、アルゼルのために過去のいたずらを再現しようとする、というストーリーは『ドラゴンたいじ』を読んでいる人なら胸アツの展開。過去のキャラクターの再登場も含めて、後日談としては王道かつ理想的なものだ。

 単体でも楽しめないことはないが、やはり『ドラゴンたいじ』を読んでから手に取るのがベスト。これまでシリーズ第1作を読み飛ばしていた、という人もこの機会にぜひ。

 今回の新作を読んでいて印象的だったのは、アルゼルに接するゾロリのふるまいだ。立派すぎる父親にプレッシャーを感じているアザゼルを、ゾロリは見守り、そっと勇気づける。いたずらで人騒がせなのは相変わらずだが、本作のゾロリはちょっぴり「いい大人」なのである。ここには31年間シリーズを書き継いできた、作者・原ゆたか氏の子どもたちへの思いが表れているのかもしれない。「ゾロリも大人になったなあ」と思わず感慨にふけってしまった。

 初回限定特典として、ゼンマイ仕掛けで歩く「トコトコドラゴン」が付いてくるのも見逃せない。世代を超えて盛り上がれる『かいけつゾロリ』史上初めてとなる「続編」の試み。この夏は大人も子どもも奇想天外な『ドラゴンたいじ』に出かけよう!

文=朝宮運河