ボケないための「たった1つの習慣」 1日5分で体調・感情もコントロールできる凄いコツ

暮らし

2018/8/11

『脳を守る、たった1つの習慣 感情・体調をコントロールする』(築山 節/NHK出版)

 老化によって「ボケる」ことは、私たちがもっとも恐れる現象の1つだ。若い人であっても、自分の親や家族のことを考えれば、なかなか他人事ではいられない問題だろう。ボケを防止するために、世の中ではたくさんの“脳を鍛える”方法が紹介されている。だが、本書『脳を守る、たった1つの習慣 感情・体調をコントロールする』(築山 節/NHK出版)の著者は、50代以上の初老期・老年期に必要なのは、“鍛える”ことよりも“守る”ことだという。“脳を守る”とは、私たちが本来もっている脳の機能を維持すること。本書では、脳機能についてのわかりやすい解説を踏まえたのち、著者の提唱する、脳を守るための“たった1つの習慣”を紹介している。その習慣とは、ずばり「1日1ページ、ノートを書く」ことだ。

■「書く」ことが脳を守る

 長年脳神経外科の医師として働いてきた著者によれば、病院で脳を治療した患者たちの中にも、「ボケてしまう人」と「ずっと元気な人」がいるのだという。ボケてしまう人の多くは、退院後、家族が患者を大切に思うあまり、身の回りのことすべて代わって行い、患者自身は「何もしない」という生活をしている。反対に、ずっと元気な人は、何らかの形式で、日々の出来事を「書く」習慣を持っていたのだという。

 なぜ、「書く」ことが大事なのだろうか。それは、私たちの記憶のプロセスに関係している。記憶するときに脳で行われる情報処理には、(1)情報の入力(2)情報の処理(3)情報の出力、の3つの段階がある。「書く」という行為には、そのすべてが含まれている。

・自分が何かを見たり聞いたりする(情報の入力)
・それを整理し、言葉に変換する(情報の処理)
・その内容を紙に書き記す(情報の出力)

 だからこそ、「1日1ページ、ノートを書く」という習慣を持ち、このプロセスを毎日繰り返すことで、脳を守ることができるというわけだ。

■ノートに書くべき15項目とは…?

 著者は、次に挙げる15項目を毎日メモとして書くことを推奨している。15項目はそれぞれ、生命をつかさどる「脳幹」、感情をつかさどる「大脳辺縁系」、理性をつかさどる「大脳新皮質」の活性化に対応している(重複する項目もある)。詳しい仕組みや、各項目がどういった意図・目的で選ばれているかなどは、直接本書を参照してみてほしい。

●「脳幹」のために
(1)日付、(2)体重、(3)血圧、(4)睡眠、(5)歩数、(6)BMI、(7)食事の記録、(8)天気・気温
 →睡眠や食事が足りているかを記録し、「脳幹」に負荷がかかっていないかをチェック

●「大脳辺縁系」のために
(8)天気・気温、(9)ToDoリスト、(12)外出
 →やるべきことを整理し、感情をコントロールする

●「大脳新皮質」のために
(9)ToDoリスト、(10)音読、(11)運動、(12)外出、(13)コミュニケーション、(14)外の世界のメモ、(15)自分のためのメモ
 →音読や外の世界との接触によって、新しい情報に積極的に触れる

 本書の提案は、このメモを継続する“たった1つの習慣”だけである。そのため、上記の通りにノートを書き続けることができれば、きちんと“脳を守る”ことはできる。だが、著者は、本書で脳のメカニズムを詳しく知り、この習慣の意味をきちんと理解することが、私たちが良い習慣を続けるための“強い意志”につながると提案する。若い人ならば、本書で脳について勉強し、高齢に差しかかろうとしている親にこの習慣を教えてあげる…という使い方もできるだろう。ぜひ、それぞれの生活に合わせて、本書を活用してみてほしい。

文=中川 凌