幽霊を嫌う俺様系イケメン霊能探偵が主人公!「日暮旅人」作者の最新シリーズ開幕!

文芸・カルチャー

2018/8/19

『霊能探偵・初ノ宮行幸の事件簿1』(山口幸三郎/KADOKAWA)

 何の未練も残さずにこの世を去ることができる人などどこにいるのだろう。そう考えると、何らかの未練を残した死者が幽霊となってこの世をさまよい続けている…というのも、あながちありえない話ではない気がする。幽霊たちはどんな思いを抱えてこの世界にとどまっているのか。その胸の内はきっと恐ろしい感情ばかりで満たされているのではない。切なく悲しい思いが秘められているに違いないのだ。

 山口幸三郎氏著『霊能探偵・初ノ宮行幸の事件簿1』(KADOKAWA)は、幽霊を嫌う俺様系イケメン霊能探偵による新感覚ミステリー。山口幸三郎氏といえば、昨年TVドラマ化された『視覚探偵・日暮旅人』の原作者であり、本作は彼にとって新たな探偵の物語となる。日暮旅人は、目に見えない聴覚・嗅覚・味覚・触覚を「視る」ことができる人物だったが、初ノ宮行幸は、世をときめかせるスーパーアイドルでありながらも「幽霊をこの世に繋ぎ止めている鎖」を視ることができるという異色の霊能力者。清原紘氏によって描かれた、表紙のイラストはなんと美しいことだろう。このイケメン霊能探偵はどうやって事件を解決していくのだろうか。

 初ノ宮行幸は、幽霊に対して嫌悪感を抱き、この世からすべての幽霊を祓うことを目的に、芸能活動の一方、心霊現象に悩む人の相談を受けていた。ある日、レコーディングスタジオで弱小芸能事務所に勤める美雨と出会う。自覚なく幽霊を惹きつけてしまう体質の美雨はトラブルメーカー。幽霊を引き寄せては、トラブルを引き起こしているらしい。命の危険にさらされていた彼女を行幸は強制連行。紆余曲折の結果、美雨は行幸の事務所で寝泊まりしつつ、彼のマネージメントを担当することになるのだが…。

 突然、行動をともにすることになった行幸と美雨は恋愛関係に発展するのか?と思いきや、なかなかそんな甘い関係にはならなそうだ。次々と行幸のもとに舞い込んでくる除霊の依頼。美雨に襲いかかる幽霊たち。行幸は、幽霊を引き寄せる美雨と、どうやって依頼を解決していくのだろうか。

「除霊」というと、少し怖いように感じるが、登場する幽霊のすべてが恐ろしい霊というわけではない。ほとんどが切ない未練を抱えたままこの世にとどまっている霊だ。普段はスーパーアイドルとして傍若無人、ナルシスト全開で俺様な態度をとる彼だが、除霊の時には真剣そのもの。幽霊を憎んでいるという行幸だが、切ない思いを抱えた霊たちには不器用な優しさを見せる。そのギャップが行幸の魅力であり、読者は彼に惹きつけられてしまうのだ。

 行幸は幽霊に対して嫌悪感を抱くというが、彼の過去には何があったのかも気になる。第1巻につづいて、第2巻も2ヶ月連続で発刊。現在、2ヶ月連続刊行を記念して、サイン入り色紙やクリアファイルがあたるキャンペーンを実施中だから、1巻を読んでこの物語にハマってしまった方はぜひとも2巻目も購入して応募してみてほしい。俺様霊能力者が織りなすこの物語は新感覚。ひとたびこの本をめくればきっとあなたも初ノ宮行幸の魅力に惹きつけられるに違いない。

文=アサトーミナミ