ウンチは“薬”になる。 信じられない驚愕の科学

暮らし

公開日:2018/8/24

[図解]身近な科学 信じられない本当の話

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:

 身近な動植物や天体、学生時代に習った物理や統計学まで、我々の身のまわりには、“常識”を超える理系のトピックスが驚くほどたくさん存在する。先日刊行された『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(KADOKAWA)は、「現代科学にまつわる話題」をイラスト図解でやさしく説明する注目の一冊だ。


 今回の記事では、我々人間にとって“無視できない存在”である「ウンチ」にまつわる新たな話題と、それに関係する「細菌」について、わかりやすく解説しよう。

■感染症改善への“最終兵器”!?

 大切なモノなのに、どうしても疎まれるモノの一つが「便(ウンチ)」でしょう。しかしながら、それを上手く加工すると、なんと「薬」になってしまうことが最近わかってきました。

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 そもそも便がどのような成分でできているかご存じでしょうか。すべて食べ物のカスと思っている人もいるようですが、実は健康な人の便の約80%は水分。残りの固形分の3分の1が食べ物のカス、もう3分の1が古くなった腸粘膜、そして最後の3分の1が腸内細菌とその死がいなのです。

イラスト:ケン・サイトー

 なぜ、これほど多くの腸内細菌が毎日体外に排出されるのでしょうか。それは、腸内にはさまざまな種類の細菌がすんでいて、人の健康維持に尽つくしてくれているからです。これは近年「腸内フローラ」と呼ばれ、大きく注目されています。

 腸内の菌には善玉菌と悪玉菌がいて、お互いに勢力のバランスを保ちながら暮らしています。そのバランスが崩れると、人は体調を乱したり病気になったりします。そこで、健康な人の便を他人に移植して腸内環境を改善するという試みが、2013年、アメリカで初めて行なわれました。その結果、治りにくい腸管感染症患者の症状に大きな改善が見られたそうです。

 そう、ウンチが“薬”に変身したのです。

イラスト:ケン・サイトー

■「細菌」は、示し合わせたように行動する

 さて、「細菌」の話が出たところで、もう一つ、細菌の話題です。

 細菌には目もなければ口もありません。しかし、そんな細菌でも仲間と連絡が取れます。1つの細胞からできている細菌はどのように仲間と語らうのでしょうか。その一つが「クオラムセンシング」です。

 点在しているとき、細菌は互いに意思を通じ合わせることはありません。しかし、ある一定の密度以上に増殖すると、急に集団行動をとることがあります。クオラムとは「定足数」の意味。定足数を超えると集団行動を始める、というのがクオラムセンシングなのです。

 たとえば、病原性大腸菌が腸内に入り込むとき、数粒ならば何も問題はありません。しかし、増殖して一定密度を超えると一斉に毒素を出し、私たちを苦しめます。

 目や口のない細菌が互いの存在密度を知るには化学物質が利用されます。互いに放出する化学物質の濃度を検知し、それが一定量になると細菌は活性化するのです。

 近年、この化学物質をコントロールし、細菌の能力を引き出したり、毒性を抑えたりする研究も盛んになっています。

イラスト:ケン・サイトー

『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』
涌井貞美/KADOKAWA

身近な「理論」からあの「生きもの」まで、常識を超える現代科学100話――「AI」「量子コンピューター」などの言葉をよく見聞きする昨今。これら「現代科学」の話題は私たちの今後の未来に関わる大切な情報です。本書は現代科学のポイントをやさしく図解。誰でも科学の教養を身につけられる内容です!

この記事で紹介した書籍ほか

[図解]身近な科学 信じられない本当の話

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
ISBN:
9784046024350