逮捕されてから2年。うつ病、薬物依存とたたかう日々――清原和博の心を侵した闇とは?

エンタメ

2018/9/21

『告白』(清原和博/文藝春秋)

 2000年にお笑い芸人を引退した上岡龍太郎は過去に「芸人でクスリをやるやつはいない。万が一いたら、それはつまらないやつだ。なぜならお笑いをやる人は、舞台の上で笑いという快感を得ているから、そういうものに手を出すやつはいないんだ」といったコメントを残していた。どうやらお笑いに限らず、大舞台でスポットライトに当たるという快楽は何ものにも代え難いらしい。

『告白』(文藝春秋)は野球の申し子、甲子園のヒーローだった清原和博が覚せい剤取締法違反で逮捕されてから現在に至るまでの栄光と転落の半生を赤裸々に綴った1冊だ。スポーツ総合雑誌『Number』編集部(文藝春秋)の鈴木忠平が2週に1回のペースで1年にわたって独占インタビューを敢行。各章では鈴木からみた清原の様子が事細かに描かれている。

 30代以上の野球小僧であれば清原の名前を知らない者はない。PL学園時代には春夏5大会連続で甲子園に出場し4番打者として活躍。エースの桑田真澄とともにKKコンビとして日本中を沸かせた。86年にドラフト1位で西武に入団し、97年にはFAで巨人に。その後オリックスに移籍し、2008年に引退した。プロ通算525本塁打は歴代5位。タイトルは獲得できなかったものの、勝負強く、記録より記憶に残る打者だった。

勝負どころでは自分でも信じられない力が出たんですけど、勝負がかかっていないところでは力が出なかった。

 本書によるとイチローや松井秀喜などはどんな試合でもマイペースに自分のバッティングを貫く。ところが清原は観衆の期待に応えるべく打席に入っていたのだそう。

 笑いの殿堂、大阪・なんばグランド花月の席数は900。阪神甲子園球場の座席数は4万7508である。大観衆の中で放つ本塁打の快楽とはいかほどのものなのだろうか。齢を重ね、求められたものに対して応えることができなくなっていった清原の心にぽっかりと穴が開いていく。

謙虚と傲慢、純粋と狡猾、率直と欺瞞…

 清原の過去の栄光とは裏腹の暗の部分を今も引きずり続けている。清原のバッティングに魅入られた人たちには、目を背けず、この本を読んでもらいたいと思う。

文=梶原だもの