調味料ビッグ3の底力! 醤油・味噌・酢がものすごいワケ

食・料理

2018/9/21

『醤油・味噌・酢はすごい 三大発酵調味料と日本人』(小泉武夫/中央公論新社)

 日本の食卓に欠かせない調味料、醤油・味噌・酢。慣れ親しみ普段口にしているこれらの発酵調味料について深く考えながら食してきた人はあまりいないかもしれない。けれどもこれら調味料の「底力」を熱く教えてくれるのが本書『醤油・味噌・酢はすごい 三大発酵調味料と日本人』(小泉武夫/中央公論新社)だ。

 和食がユネスコの無形文化遺産に登録された今こそ、この身近な発酵調味料の歴史や食文化、さらに健康成分や美味しい食べ方についても、教養のひとつとして身につけてほしいと著者は語る。その想いを一緒に覗いてみたい。

■3つの調味料に関連性はある?

「醤油」「味噌」「酢」。この3つの発酵調味料は密接に関係しているそうだ。類似点は、共通の発酵微生物を利用した製造過程や成分、食の保存に関する機能などだ。

 さらにこれらの素材としての共通点に加えて、醤油・味噌・酢がいずれも「神格化」され日本各地で祀られているという点も見逃せない、と著者は語る。それぐらいこれら三大発酵調味料は歴史が長いものであり、日本人の食生活においてとても重用されてきた、ということだ。

 一方、これらの発酵調味料は日本各地において地域性の違いにより、醸され方、風味、好み、さらには使い方にも差異が生まれ、それが地域の食文化として定着してきた。日本各地の味噌のバリエーションを思い浮かべるとわかりやすいだろう。著者は、これらの違いがさらに調味料の魅力を高めていると語る。詳しく知れば知るほど奥が深く、その魅力を感じることができるのは間違いないようだ。

■意外? 身近な酢の底力がすごい!

 さて、本書では三大調味料についてそれぞれ章を割いて詳しく紹介されているが、本稿では特に「酢」の意外な底力に注目してみたいと思う。

 あなたはとても身近な調味料「酢」がどのように作られるか知っているだろうか? 酢は酒からできる。正確にいうと、酒の中のエチルアルコールが発酵され、酢酸となる。そのため、酒の管理をちょっと油断しただけで酢に変身してしまった、という苦い(というか酸っぱいのだが)失敗を経験したことがある人もいるかもしれない。

 酢と酒は強く関係しており、酒の歴史と同じように酢の歴史も極めて古い。そして世界の諸地域にそれぞれ伝統的な酢が存在する。さまざまな酢の歴史や作り方を本書で学び、いつか酒の飲み比べならぬ、酢の飲み比べをしてみても楽しいかも、と引き込まれる。

 酢は、ただ料理を美味しくするだけではないのが、底力の所以たるすごいところだ。近年その効果は医学的・生理学的研究で明らかになり、一層注目されている。具体的には、「コレステロール値の低下」「糖尿病の予防」「高血圧症の予防」「肥満の防止」「骨粗しょう症の予防」などに効果があるそうだ。

 本書では、このほかにも醤油や味噌の健康における効能についても広く知ることができる。また、ちょっとしたヒントで日々の食卓が楽しくなるような簡単レシピを紹介してくれる点も、非常に魅力的だ。発酵学の第一人者である著者の一押しは、「納豆醤油」だ。これは納豆にただ醤油をかけるのではなく、醤油の中に納豆やその他食材を一緒に漬け込んでしまう、という一風変わった発想に基づくレシピ。単なる醤油とはまったく異なるドレッシングとしてキッチンで大活躍しそうなものなので、ぜひ本書でその作り方を参考にしてもらいたい。

 私たちの食生活になくてはならない発酵調味料、「醤油」「味噌」「酢」。これらについてもっとよく知り、もっと深く味わいたい、と思った人にはきっと本書が役立つはずだ。本書を手に取り、豊かな食卓作りに活かしてほしいと思う。

文=ナカタク