『あさイチ』で放送された、漫画家ヤマザキマリさんの「エッセー」3選にあの作品!

マンガ

更新日:2018/10/9

 10月5日(金)の『あさイチ』で放送された「特選!エンタ」のコーナーで、『テルマエ・ロマエ』で知られる漫画家ヤマザキマリさんが、秋の読書にぴったりの「エッセー」を選書! 番組内で『ちびしかくちゃん』『ナガサレール イエタテール』『仕事にしばられない生き方』の3作品が紹介された。

 見逃したという方はこちらでチェックを!

・『ちびしかくちゃん』/さくらももこ

『ちびしかくちゃん』
さくらももこ/集英社)

 今年、乳がんのため53歳という若さで亡くなった漫画家のさくらももこさん。誰もが知っている、国民的マンガ 『ちびまる子ちゃん』を、さくらさん自身がパロディとして描いたのが『ちびしかくちゃん』だ。その内容はなんとも衝撃的。

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 主人公はしか子、小学3年生。見た目はまる子そっくりだが、顔が四角く、気弱な正直者。友達の“だまちゃん”は、たまちゃんのパロディ的存在なのにびっくりするほど性格が悪い。遅刻してきたしか子を「グズ」と呼び、遅刻の理由をつくったしか子のお母さんを「ゴミ」と罵る…。

 設定だけ聞くと心配になるが、1話がたった5ページでさくっと読める。しかも起こるのは、しか子が200円をなくしてしまったり、好きでもないクラスメイトと噂されたりと「しょーもな(笑)」と笑えてしまうことばかり。そこに口の悪いキャラクターが続々と畳み掛けてくるのだ…。『ちびまる子ちゃん』とは異なるダークなキャラクター性が中毒になりそうだ。

【レビューはこちら】
ちびまる子ちゃん好きは絶対に読むな! さくら本人が描いたパロディ『ちびしかくちゃん』がマジで怖い件

・『ナガサレール イエタテール』/ニコ・ニコルソン

『ナガサレール イエタテール』
(ニコ・ニコルソン/太田出版)

『ナガサレール・イエタテール』の著者ニコ・ニコルソンさんの生まれは宮城の沿岸部。2011年3月11日、実家は津波で流された。当時、自宅にいた母(母ルソン)と祖母(婆ルソン)も一緒だった。本作は、九死に一生を得た家族とともに流された家を再建していく物語だ。

 母ルは流れてきたタンスにつかまり婆ルをつかみ、無我夢中で2階にあがった。一命をとりとめた2人が翌朝、窓の外を見てみれば、目の前に広がっていたのはガレキの山に泥と水。そして知らない人の家。そこから避難所生活が始まるも、津波のショックで婆ルは、母ルの顔も忘れる一時的せん妄状態に。認知症も進み、家に帰りたいと駄々をこねる。決意の揺るがない婆ルの姿に、母ルも腹をくくって「家を建てよう」と決めるのだ。

 描くこと自体相当しんどかったはずなのに、ニコさんは決して、本作を悲劇として描いていない。目の前にある現実をただ受け止め、前に進んでいく日常の物語として表現した。随所にユーモアとギャグを忘れず“面白い”作品として描ききったニコさんに、敬意を表したくなる。

【レビューはこちら】
祖母は認知症。津波で流された実家を建て直すまでの日々を描いた実録コミック『ナガサレール・イエタテール』

・『仕事にしばられない生き方』/ヤマザキマリ

『仕事にしばられない生き方』
ヤマザキマリ/小学館)

『テルマエ・ロマエ』という超大ヒット作を世に生み出した漫画家のヤマザキマリさん。そんなヤマザキさんが、自身が経験した様々なトラブルをふまえ「仕事」と「お金」の話を本音で語った1冊が『仕事にしばられない生き方』だ。

 漫画家として活躍しているヤマザキさんだが、経験した仕事は、チリ紙交換のアルバイトに始まって、絵描き、露天商、大学教師、料理講師、テレビリポーター、美術イベントのキュレーター、普通の勤め人など、数知れず。

 当然、良いことばかりでなく、海外で借金返済に追われたり、仕事で活躍すれば、上司から妬まれたり、さまざまなトラブルや苦労を経験してきたという。そのたび、ヤマザキさんは、働くことについて考え、働き方を変えてきたそう。

「好きな仕事か、向いている仕事か」
「お金にならない仕事をいつまで続けるべきか」
「嫌な上司がいたらどうすべきか」
「望んだ仕事なら、限界まで働くべきなのか」

 そんなことについて考えるヒントが豊富な本書。仕事やお金について、少しでも悩んでいることがあれば、ぜひ本書を考える手引きにしてみてほしい。