なぜ…? 購入したマンションが「廃墟」になってしまう理由

社会

2018/10/18

『100年マンション』(長嶋修/日本経済新聞出版社)

 住まいをどうするべきか、戸建てか、マンションか、賃貸か、購入か、これらは結論の出ない命題である。その答えのヒントは、本稿で紹介する『100年マンション』(長嶋修/日本経済新聞出版社)から得られるかもしれない。特に大都市圏に住み、マンションを購入しようと思っている人、マンション所有者は読んでおくべき一冊だ。

■自分のマンションを100年もつ資産にするために必要なこと

 本書は「自分が管理をする」意識を持たなければマンションは廃墟化する、と警告する。内容はマンションの未来年表を伴う警告(第一章)、マンションを長寿命化するための問題点(第二章)、良好な管理組合の事例紹介(第三章)、資産維持のための提言(第四章)から構成されている。読んでいけばマンションの購入予定者と所有者が、マンションの管理状況のどこを、どのようにチェックすべきか、管理組合にどう関与していくべきかを知ることができる。

 あるアンケートによると、マンションの購入検討理由は「資産を持ちたい・資産として有利だと思った」から、だそうだ。だが資産価値が高い「100年もつ」マンションは、新築を買えばいいというわけではない。都市中央部からの距離、駅近、タワー、これらのワードを押さえた物件なら安心、というのも安易な考えである。

 そもそもマンション(RC=鉄筋コンクリート造)の寿命は、諸説あるがおよそ120年から150年(大蔵省主税局、1951年「固定資産の耐用年数の算定方式」)だそうだ。しかしどんなによいマンションであっても、適切な点検と修繕が行われていなければ、老朽化はまぬがれず寿命は短くなる。

■購入した資産が廃墟になる理由

 マンション購入者は適切な点検と修繕を行うために費用を積立しているのだが(修繕積立金)、これが2回目~3回目の修繕時に多くのマンションで不足するのだそうだ。その理由は修繕積立金設定がもともと適正でなく安いこと、そして修繕費の高騰があげられる(この数年で修繕費は20~30%上昇)。その場合にはマンションの管理組合が、不足している費用の住民の負担金を決める、またそもそもの修繕予定や積立金方式などを変更する必要がある。しかし多くの問題があり、うまく管理ができていない、正常に機能していない組合が多いそうなのだ。そこで浮かび上がるのが“住民の無知と無関心”だ。

 ある調査では回答者の全員が「マンションを適切に管理・修繕し、資産価値を守りたい」と考えているにもかかわらず、管理組合の総会参加率は46%だそうだ。また組合の理事になってもいいと考える人も34%と、マンションの資産価値は保ちたいのに自分は理事になりたくない、といった傾向がみてとれる。

 マンションは文字通り共同住宅なのだ。住民はわずらわしいなどと感じている場合ではない。購入したからには資産価値を守るために、お互いに助け合わなくてはならない。本書はそう提言している。

■住居まわりは全て「運命共同体」。当事者意識が住みやすさを守る

 マンションが合理的でない、と考えるのは早計である。戸建てでもメンテナンスは必要である。しかも基本的に自分だけで何もかもやらなくてはならない。また町内会や隣人との良好な付き合いも必要だ。

 いずれにしろ空き家率が13.5%(2014年)と先進国でトップのわが国では、戸建てだけではなくマンションの空室化も進む。適切に修繕されないマンションには、中古としての魅力などなく、住民は減り空洞化していく。資産価値以前に、ただ住みにくくなってしまうかもしれないのだ。

 どんなマンションにも起こりうる危機の解決法はたった1つだけだ。そこに住むあなたが当事者意識を持つこと。資産である自宅の維持と管理を自身で行う意識を持つことだろう。

文=古林恭