ニセ婚約関係の行く末は――!? 1通の手紙からはじまった勘ちがいラブコメ

文芸・カルチャー

2018/10/19

『庶民派令嬢ですが、公爵様にご指名されました』(橘 千秋:著、野口芽衣:イラスト/フロンティアワークス)

〈頑張る女性の“読むサプリ”〉をキャッチコピーに、異世界やファンタジー世界を舞台に活躍するヒロインたちを描く女性向けライト文芸レーベル「アリアンローズ」。コミカライズやCD、舞台化にドラマ化などメディアミックス展開も続々されている本レーベルの今月の新刊は、庶民派令嬢と嫌われ者公爵の勘ちがいラブコメディ『庶民派令嬢ですが、公爵様にご指名されました』(橘 千秋:著、野口芽衣:イラスト/フロンティアワークス)だ。

 とある王国の辺境にある貧乏男爵家の元に、名門公爵家から1通の手紙が届く。内容は、病弱な長女アリシアに「身一つで来られたし」と呼びかける“強制侍女召喚”だった。その傲慢なやり方に憤慨した次女ロゼッタは、「お姉さまの代わりに私が参ります!」と、単身公爵家に乗り込む。

 不愛想な当主アーネストとは顔を合わせた瞬間から衝突し、慇懃無礼な腹黒執事フェイや、殺人的に料理の下手な先輩侍女ティナなど、個性が豊かすぎる面々の中に放り込まれたロゼッタ。持ち前の頑張りと料理の腕を活かし、与えられた状況の中で道を切り拓いていこうとするが――。

 イケメンながら目つきの悪さと悪評のために、貴族社会で恐れられているアーネストと、しっかり者で負けず嫌い、恋愛面にはちょっぴり天然なロゼッタ。彼らは実に水と油だ。

 孤独だったアーネストの心の中に、これまでに出会ったことのないタイプの女性が飛び込んでくる。貴族令嬢なのに驕ったところがなく、分け隔てなく誰とでも仲良くなれて、ひたむきで、どこまでもまっすぐなロゼッタが。

 最初は不仲である叔父の差し向けたスパイではないかとロゼッタを疑うアーネストだが、熱を出した彼女を看病したことがきっかけで、自らの恋心に気づく。叔父の目をくらますためという名目で「私の婚約者になれ」と申し出るが、あくまでも天然なロゼッタは「お断りします!」と即答。

 アーネストはロゼッタへの想いに戸惑いつつもアプローチを開始。一方、ロゼッタは彼の侍女兼ニセ婚約者として全力を尽くすという噛み合わない状況が、なんともおかしく微笑ましい。こんな2人が、お互いの境遇や背景を知っていくうちに惹かれあっていく過程が丁寧に展開され、きゅんきゅん要素がたっぷりだ。そこへアーネストの叔父が画策する陰謀も絡み、サスペンスフルなドキドキ感も特盛。ロゼッタとアーネストの間の勘ちがいは無事に解かれるのか? そしてニセ婚約関係の行く末は!?

文=皆川ちか