家族団欒は求めすぎない。45歳からは「自分が心地よいこと」を目指そう

暮らし

公開日:2018/10/30

『45歳からの自分を大事にする暮らし』(堀川 波/エクスナレッジ)

 子どものことばかり優先して、自分のことを後回しにしてきた子育て奮闘期。子どもが成長して、ふと気づけばお肌や体はずいぶん衰えてしまった。社会とのつながりも希薄になっている。このまま子離れしたら、自分はこれから何を楽しみに生きていったらいいのだろう…。子育てが落ち着いてくると、そんなふうに考えて不安になることも。

 人気イラストレーター・堀川波さんの著書『45歳からの自分を大事にする暮らし』(エクスナレッジ)には、子離れをきちんと受け入れ、日々の悩みを解消しながら、自分らしく楽しく生きていくためのアイデアが満載。堀川さん自身は47歳の2児の母ということで、同世代ならば「そうそう、わかる!」とうなずけることばかり。実際に使えるお役立ちアイテムなどが具体的に紹介されていることも、すぐチャレンジできてうれしいところ。堀川さんの暮らしは“脱ママ”によってどう変わっていったのでしょうか。

●子離れするには? 思い出を1つずつ箱に詰め込んで…

 堀川さんにとっては、子どもたちの思い出の品を、屋根裏にしまってある「思い出箱」に1つずつ入れていくことが、子離れの一作業。子どもがハタチになったら、それをプレゼントする予定だとか。これまで自分のモノのように管理してきたけれど、本当は子どもたちの個性のカケラ。だから、子どもたちに返してあげるような気持ちで。

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 箱には、この先の人生でつまずいたり迷ったりしたとき、自分が愛されて育ったことを実感して安心してほしいし、昔から好きだったことを確認して原点にかえるきっかけになれば…という願いが込められています。実際に、堀川さん自身も実家で思い出の品を見つけたときに、気持ちが救われた経験があるのだとか。子どもの巣立ちと同時に、思い出の品も戻してあげる。“脱ママ”に必要なプロセスとして、子離れできるかどうか心配な人は今から試してみたいアイデアです。

●夫や子どもとの距離感をうまく保つコツ

 子どもは自分の部屋にいたがり、働き盛りの夫は家族団欒より自分の疲れを癒すのを優先。この数年は、家族全員が家にいても、同じ部屋ですごす時間がほとんどなくなり、なんとなくぎこちない空気を感じていたという堀川さん。そこで、「いつでも誰でもウェルカムな家にしよう」というアイデアを家族に持ち込んだところ、友人や息子の同級生などの第三者がいるおかげで家の中の風通しが良くなり、家族の会話も自然に弾むようになったのだとか。

 夫とも、別のことをしながらなんとなく気配を感じるくらいが今はちょうどいい、と語ります。「いつも一緒」から、それを求めすぎない心地よい距離感へ。子どもが巣立っていった後の夫とのすごし方にも使えそうなアイデアです。

●45歳の肌を助けた140円のシャボン玉石けん

 40代ともなれば、肌や体の変化も目立ってきます。堀川さんの場合は、人工的な香料の匂いがますます苦手に。無駄な成分が入っていないものを選んで使っているうちに出会ったのが、1個140円というコスパ最高のシャボン玉石けん。これを使うようになってから、乾燥や湿疹などの肌トラブルが解消し、むしろ潤いを感じるようになったそうです。

 もちろん、肌質によって違いはありますが、歳を重ねるほど栄養たっぷりの高価なクリームが必要だとは限らないのですね。そのほかのスキンケアやメイクグッズもどんどんシンプルなものに切り替わっていったという堀川さん。一皮むけたように肌がツルツルになるという、ホホバオイル&重曹&ハチミツを混ぜた“重曹スクラブ”も試してみたいアイテムです。

●45歳になったら「小さなことでも楽しめる自分を育む」

 他にも、“脱ママ”するための家事の工夫や、成長した子どもとの上手な付き合い方、大人をきれいに見せてくれる服の着方などが、堀川さんによるわかりやすいイラストつきで紹介されています。アイテムは、おしゃれなブランド雑貨から「Apple TV」などのデジタル機器まで気になるものばかり。商品をネット検索しながら読み進め、アイテムのセンスの良さにまたグッとくる…という二度三度とうれしい1冊です。

 子離れの時期を目前に、「自分を広げなきゃ。目の前の心配事とちゃんと向き合わなければ」と、これから自分らしく歩いていくための準備を始めたという堀川さん。45歳から目指したいのは、若いころとはちょっと違って、「好奇心を持つように意識すること」や「小さなことでも楽しめる自分を育むこと」。自分の行い次第で、将来の暮らしはより自分らしく楽しいものに変わるはずです。

文=吉田有希