「なんとなく生きづらい…」から脱出! “自分らしく生きる”ために大切なこと

暮らし

2018/11/5

『「違うこと」をしないこと』(KADOKAWA)

 なんだか調子が出ないとき、「新しいこと」を始めてみるのはよくあること。それが本当にずっとやりたかったことならいいけれど、「〇〇しなきゃ」で始めたことは、たいていうまくいかなくて、むしろより空回りする。冴えないなあ、と思ったときはいつもどおり過ごすことが意外と大事なのだ……と気づかせてくれるのは、吉本ばななさんの『「違うこと」をしないこと』(KADOKAWA)。「自分を生きる」をテーマにつづられる最新エッセイだ。発売直後から老若男女問わず「突き刺さる……!」と反響を呼び、即重版した一作である。

〈本来の自分を生きるには、違うことをしないのが大切。じゃあ「違うことをしない」ってどういうことなんでしょうね〉という問いかけから始まる本書。なんかいやだ、という直感をはじめ、自分の素直な願いや違和感をスルーしないことだとばななさんは言うが、わかっていても実践するのはむずかしい。世の中にはしがらみというものがあるし、好きなことだけして生きていくなんて無理だ。……でもじゃあどうして無理だと思うんだろう? 無理を可能にするにはなにが必要なんだろう? ということを、ご自身の経験と、ふたつの対談を通じて深めていく。

 ひとりめの対談相手・白井剛史さんは宇宙マッサージの考案者。施術を受ける人と宇宙をチューニングして、凝りだけでなく体内にたまった淀んだエネルギーをも流していく、というものだ。その白井さんとの対談で、ばななさんはこんなことを語っている。

一番厄介なのって愛情のある人じゃないですか。周りの愛情や気遣いが、人間をちょっとずつ蝕んでいくこともあるんじゃないかって

自分が何に縛られているのか、刷り込みに気づくことも大事ですよね。自分の考えだと思い込んでいることも、社会的な洗脳だったりするから

 こうするべきとか、しなきゃいけないとか、社会的な常識を私たちが守ろうとするのは、それが「よいもの」だと思っているからだ。だから「そのルールはなんか自分とあわない」と感じていても、きまじめに守ろうとしてしまう。守れない自分が悪いような気がしてしまう。そうして自分じゃない誰かの規範に縛られているから、自分が本当にやりたいことや好きだと思うことが見えなくなってしまう。

 もちろん最初から、自分の好きなことだけを貫いて生きることなんてできない。ばななさん自身も、しがらみに流されて本意じゃないことをした経験から「自分は何が嫌かっていうのが明確にわかった」という。大事なのは、わかってからどうするかだ。いやだと思いながらも続けるのか。回避する方法を見つけて、自分のまわりを「好き」なことで埋めていくのか。どちらも簡単なことではないけど、どうせやるなら後者がいい。

 初期設定、という話も本書ではたくさん出てくるが、自分が「こうしよう」と最初に決めたことを思い続けていれば、やがて物事は自然とそのとおりに進んでいく。無意識のうちにしたくないことを避けるようになっていたり、知らず知らず運気を呼び込んでいたり。「そんなにうまくいくわけないじゃん」と思う疑りぶかい人こそ、ぜひ本書を一度手に取ってみてほしい。本書につづられるやわらかい言葉の数々は、社会で傷ついた心をそっと癒し、生きやすい方向へと導いてくれるはずだから。

文=立花もも