商談や会議、冒頭の世間話は必要? 99%の人が気づいていない、ビジネス力アップの基本

ビジネス

2018/11/13

『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100(講談社+α新書)』(山口博/講談社)

 できるビジネスマンに求められる能力はさまざまだが、その多くは“対人関係”のスキルに集約される。上司の支持をうまく汲み取り、部下の適性を考えて指示を出す。複数人の会議では、決められた時間内に立場の違う人たちの合意を勝ち取る。取引先との商談では、和やかな雰囲気を作りつつも、譲れないところはきちんと守る…。本書『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100(講談社+α新書)』(山口博/講談社)は、“モチベーション”という要素に着目し、こうした場面で使える実践的なスキルを集めた指南書だ。

■冒頭の会話で必要なのは“BIGPR”

 面談や会議の冒頭で、あなたは相手に何を話しているだろうか。世間話や冗談で相手を和ませる、という人は多いかもしれない。だが、著者はそれ以上に相手の気持ちを和らげる方法があるという。それは、“BIGPR”にふれることだ。これは、「背景」「自己紹介」「目的」「所要時間」「相手に期待する役割」の頭文字をとったもの。話し合いの冒頭でこれらを確認することで、参加者たちは、その場の意味や自分の役割を再確認することができる。そのため、スムーズに議論へと入れる上、参加者たちの議論への関心度も落ちにくくなるという。

■“モチベーションファクター”を見極めよ

 誰かと仕事をするときには、相手がどんなことにモチベーションを感じるのかを知ることが大切だ。著者は、モチベーションが高まりやすい要素を、“モチベーションファクター”と名付け、それを以下のような2つの志向と6つの要素に分類している(各要素の見分け方や、それぞれのタイプに向いている職業等は本書を参照してほしい)。

・牽引志向
目標達成:目標達成や挑戦することでモチベーションが上がる
自律裁量:任されて自分の裁量で仕事をすると意欲が向上する
地位権限:責任ある仕事をしたり昇格することで気持ちが高まる

・調和志向
他者協調:周囲の人と協力することでモチベーションが上がる
安全保障:リスクを回避し長期成長することで意欲が向上する
公私調和:公私などのバランスがとれた状態で気持ちが高まる

 このモチベーションファクターは、自分のキャリアを考えるときや、部下への助言する際に役に立つ。たとえば、自律裁量型の部下が「プロセスが煩雑で、裁量余地が小さい」と悩んでいたとする。そのとき、頭ごなしに「会社で決めたプロセスだから従え」と命じるのは逆効果だ。部下が自律裁量型だとわかっているのなら、裁量余地が少ない中でも改善提案をしてみることを勧める…など、その人のモチベーションファクターの琴線にふれる助言をしてみてほしい。

 著者の山口博氏は、年間100社4000名が学ぶプログラムを開発した“モチベーション”のプロだ。近年は、トヨタグループの役員研修や、サントリーグループの企業リーダー研修なども行っているという。本書には、本稿で取り上げたもの以外にも、アイコンタクトで相手を引き付ける方法や、1時間で合意形成するスキル、モチベーションファクターの応用方法など、山口氏のプログラムから厳選した100のスキルが掲載されている。氏の紹介するスキルは、実際に誰もがビジネスの現場で使えることを想定した、実践的なものばかりだ。ビジネスの対人関係にお悩みの方は、是非本書を頼ってみてほしい。

文=中川 凌