非常識な世界とつながるドア・ドア・ドア

ライトノベル

更新日:2012/4/6

DOORS 大宇宙の恐怖を修繕せよ

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:ライトノベル 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:神坂一 価格:105円

※最新の価格はストアでご確認ください。

本作は、著者・神坂一によるライトノベル『DOORS』の第2部にあたる部分で、第2の扉として「大宇宙の恐怖を修繕せよ」のタイトルが付けられています。

『DOORS』は「扉」がテーマのライトノベル。第1の扉「まぜこぜ修繕屋」では、主人公が目覚めると家のあちらこちらがドアだらけ。おまけに最愛の妹がリスに変わり果てていた。苦労の末、世界を修繕した主人公は、久しぶりに落ち着いた気持ちで自室で眠りにつく。

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そして、目覚めると…。
ここから、第2の扉である本作「大宇宙の恐怖を修繕せよ」が始まります。
目を開けると、主人公を襲う既視感。ドアが部屋のあちらこちらに復活している。さらに悲劇的なことには、妹が「触手」に身を変えていた。ドアの向こうには、それぞれ別世界が広がっており、常識がごちゃまぜになっている。世界を修繕するために、主人公はため息まじりに再びドアの向こうへ旅立つ、という破天荒な物語です。

本作ではドアが最重要物です。単に隣合った空間を仕切るものではなく、主人公の世界と別世界をつなげる唯一の存在なのですから、当然です。

ちなみに、育児の世界でも、子どもの自立心を育てるために、ドアが注目されたりします。具体的には、一人部屋のドアについての考え方です。

日本では、勉強に集中するため小学校にあがったら一人部屋を設けてあげたい、と考える保護者が多いといわれます。一人部屋を設けたとして、ドアに鍵をつけるのか、つけないのか。単純に、空間の暖気や寒気を閉じ込めたり、音を遮蔽するのが目的なら、ドアに鍵をつける必要はありません。また、子どもに閉じこもりグセをつけさせないためにも、やはり鍵をつけない方がよいといえそうです。

しかし、教育先進諸国を含む欧米では、ドアに鍵をつけることで、子どもの自立心を育てているといいます。鍵がかかっていなければ「入室OK」、鍵がかかっていれば「入室NG」。「入ってきていいよ」「入ってこないで」のサインを子どもが出し、保護者はその気持ちを尊重することで、子ども部屋が自分の専有スペースだと強く意識させ、部屋の管理をすべて任せるのです。

日本では、ドアに鍵がかかっていれば、その理由を勘ぐりたくなって「鍵をかけるな」と言ってしまったり、子どもの留守中に部屋の掃除を行ったりしがちです。しかし、子ども部屋の研究者にいわせれば、子どもが自室に勝手に立ち入られるのを嫌がるようなら、その気持ちを尊重することが、子どもの自立心うんぬん以前に親子間の信頼感を高めるために必要だ、としています。

身近にあるドアですが、ところ変われば考え方も違うということで。


『DOORS』第2部のスタート。一人称で読みやすい文体

妹が触手になった衝撃。だめ、ぜったい

ページ数は十分に一気読みができる程度。価格もサイフにやさしいワンコイン(100円/※税込105円)