【本好き必見】IKEAの書棚でお家の中に「知的な空間」をつくろう

暮らし

更新日:2021/4/6

『知的生活の設計』
(堀正岳/KADOKAWA)

 研究者でブロガーの堀正岳氏が「現代の知的生活のコツ」を紹介した『知的生活の設計』(KADOKAWA)には、「書斎をどう設計するか」が解説されています。本記事ではそのなかから「イケア」の家具を基本にした書斎設計を紹介します。

『知的生活の方法』で渡部昇一氏は、『アイヴァンホー』などの作品で知られるサー・ウォルター・スコット邸の圧倒的な書庫や、松本清張のような作家の仕事場、あるいは知的生産のためにマンションをもう一室借りている若い評論家の話題を引用しつつ、ライブラリーを私有することが知的生活を支えるということを繰り返し強調しています。

 では実際に、私たちが自分の書斎を構築するとき、どんな書棚を用意するとよいでしょうか。

●フットプリントで選ぶイケアの家具

 スウェーデン発の世界最大の家具チェーン・イケアは、北欧らしいすっきりとしたデザインとリーズナブルな価格で日本でも大変な人気です。

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 その最も有名な製品の一つが、ギリス・ラングレンによって1979年にデザインされて以来、6000万台が出荷されている書棚の定番“BILLY”(ビリー)です。当時のマネージャー、ビリー・リシュダールの「本を入れるためだけの棚がほしい」という求めに応じてナプキンの裏に最初のデッサンが描かれたこの棚は、そのままBILLYと名付けられ、いまではイケアそのものを指す製品として知られています。

 BILLYの魅力はそのシンプルなデザインだけでなく、部屋のなかでの取り回しの良さにあります。奥行きは28cmで統一され、棚の位置を比較的自由にできるユニットが幅80cmの定番サイズに加え、幅40cmと、120cm(2-3列型)と存在しますので、組み合わせによって統一されたデザインの書棚で壁一面を覆うことができます。また、コーナーソリューションのタイプもあるため、部屋の角に対して本棚を複数並べることも可能です。

 高さは基本が202cmに対して、上部追加ユニットを追加することで237cmまで拡張可能です。また、埃や汚れを避けたい場合は扉パーツのOXBERG(オクスベリ)との組み合わせを作ることもできます。レゴブロックのように、部屋の大きさとニーズにあわせて組み立てることができるのが、書斎の設計という視点にぴったりなのです。

 もし棚の位置を可動にする必要がないならば、奥行き24cmで幅60cmのGERSBY(ゲルスビー)、FINNBY(フィンビー)などのラインナップも存在します。初めての本棚ならばこれらもよいかもしれませんが、文庫本や大型本の数に応じて柔軟に収納力を変えることを考えるならば、棚を増やし、位置を変えられるタイプへの投資が妥当でしょう。

●KALLAXシェルフユニット

 もし余裕があるならば、本棚とは別に一台導入しておきたいのがKALLAXシェルフユニットです。これは小物や、書類などを保管することを念頭においた棚ですが、正方形に区切られたユニットが33cm四方で、奥行きが39cmと深めになっています。

 KALLAXが便利なのは、書籍などを集めていると必ず数年に一度出てくる、規格外に大きいアイテムを収納するのにぴったりだという点です。たとえば写真集や画集のなかには他の本に比べてかなり大きいものもあり、この1冊のために棚を調整するのももったいないので、こうしたサイズの本が棚をまるごと要求するまでは、KALLAXのユニットの一箇所に集めておくわけです。

 イケアのBRANÄS(ブラネース)や、BATTING(バッティング)といったバスケットはKALLAXのユニットに入るように作ってありますので、こうした収納ボックスやバスケットを利用して効率的な整頓を行うのにも向いています。

●MALMとMICKE。二つの机の選択肢

 イケアの机にも様々なサイズがありますが、その代表例としてコンパクトなMICKE(ミッケ)と、足元が開放的なBEKANT(ベカント)、安定感のあるMALM(マルム)を比較するとわかりやすいでしょう。

 MICKEは奥行きの基本が50cmとなっており、この場合デスクトップのパソコンを置くのには向いていません。MALMの奥行き65cmでようやく、両手を机の上にのせて余裕の操作が可能になります。

 これに対してBEKANTは奥行き65cmの脚の長さが65~85cmのあいだで伸縮可能な、引き出しもなにもないデスクです。一見味気ないように思えますが、ノートパソコンとデスクライト、そして少数の事務用品を展開するならばこれで十分です。引き出しに常に足を打ちつけるよりも、こうして風通しを良くしておくのも経験してみると捨てがたい実益があります。

 イケアで家具を統一する利点は、書棚とシェルフユニット、そして机がそれぞれ互いを補完するように機能するうえに、デザインに落ち着いた個性がみなぎっている点です。ぜひご自宅の壁の長さに対してどの組み合わせが最適なのかを、それぞれの製品のフットプリントにあわせて検討してみてください。

【著者プロフィール】
堀 正岳
研究者・ブロガー。北極における気候変動を研究するかたわら、ライフハック、IT、文具などをテーマとしたブログ「Lifehacking.jp」を運営。知的生産、仕事術、ソーシャルメディアなどについて著書多数。理学博士。著書に『ライフハック大全』『知的生活の設計』がある。