怒りの爆発を抑えるコツは「6秒我慢」 ADHDの人のためのアンガーマネジメント

暮らし

2018/12/13

『イライラしない、怒らない ADHDの人のためのアンガーマネジメント』(高山恵子:監修/講談社)

 発達障害のひとつであるADHDは、昨今メディアに取り上げられることも多くなり、大人になってから「自分はADHDだ」と自覚するようになったという人もいるだろう。これほど広く知られるようになっても、自分の症状をきちんと理解し、それに向き合いながら生きることはむずかしい。場合によっては他人より仕事ができないと感じたり、そのことで上司から叱責されることにイライラしたりし、ときに「怒り」を爆発させてしまうこともあるかもしれない。

 本書『イライラしない、怒らない ADHDの人のためのアンガーマネジメント』(高山恵子:監修/講談社)は、「怒りでうまくいく人間関係などない」という。怒られた側の人間は、「触らぬ神に祟りなし」とばかりに、その人から離れていってしまうからだ。どうすればこのやっかいな「怒り」という感情をコントロールできるのだろうか。本書で紹介する“アンガーマネジメント”をいくつか具体的に見てみよう。

■怒りに気づいたら、6秒数える

 本書によれば、怒りのコントロールは、“6秒”がカギになるという。人は怒るときに、「呼吸が浅くなる」「顔がカッと熱くなる」などのサインが出るので、まずはその反応をキャッチしてほしい。そうしたら、6つ数えて怒りを鎮めよう。なぜ“6秒”なのかというと、人が怒るときに分泌されるホルモン「アドレナリン」は、6秒後にピークを迎えるといわれているからだ。この6秒間をやりすごすことができれば、怒りに我を忘れることはないだろう。

■もし怒ってしまったら…すぐに謝る

 それでも、我慢できずに怒ってしまった…というときには、すぐに謝るのが最善策だ。そのときに心がけるのは、「怒ったこと」自体を謝ることだ。たとえ、相手の行動に納得できなくとも、それを訴えるために「怒る」という手段をとったことは間違っている。ADHDの場合、悪気がなくとも衝動的に怒ってしまうことがある。だが、相手にとっては、突然強い感情をぶつけられた衝撃的な経験になってしまうので、その後の人間関係に影響が出てしまうかもしれない。一旦お互いに冷静になり、前向きに話せる状態を作ろう。

■周囲の人が使わないようにしたい“NGワード”

 周りの人たちにも、できることはたくさんある。例えば、ADHDの傾向がある人たちに対して、次のような“NGワード”を使いそうになってしまったら、著者が推奨する“OKワード”に言い換えてみよう。

【NGからOKへの言い換え】
「○○したらダメ」→「◎◎しよう」
「ちょっと待って!」→「あと○分待って」
「なんでやらないの?」→「どうやればできる?」
「そんなこと言ってないでしょ」→「そんなふうに受け取ったのか」

 ポイントは、具体的な指示とポジティブな言い回しだ。ADHDの人たちは、「当たり前の感覚」を共有するのがむずかしい場合もあるので、「あと○分」というように具体的な指示を出したほうが伝わりやすい。また、「○○はダメ」というような制止の言葉を“否定”と受け取ってしまうことがあるため、「◎◎しよう」とポジティブに言い換えることも有効だ。これらをゆっくり穏やかに伝えることを心がけよう。

 ADHDの人たちが抱える生きづらさは、症状を正確に理解し、うまくコントロールする技術を身に着けることで大きく軽減できる。そのまま怒りを溜め込んでしまうと、人間関係がうまくいかなくなり、「うつ」などの別の病気に繋がってしまうおそれもある。本書には、「うっかり」や「混乱」によるストレスを減らすための対処法なども充実している。「自分はADHDかも?」と思ったら、迷わず本書を頼ってほしい。

文=中川 凌