トイレにスマホや本を持ち込むのはNG!? 痔を治す生活習慣とは

健康・美容

公開日:2018/12/16

『38万人を診た専門医が教える 自分で痔を治す方法』(平田雅彦/アチーブメント出版)

 便を出すときに違和感を覚え、お尻から血が出てきたときの絶望感はすさまじい。筆者はそれが何度も続き、「さすがにヤバいのでは…?」と思い始めて病院に駆け込んだことがある。医師による診断は“裂肛(切れ痔)”で、薬と生活習慣の改善でなんとか治すことができた。

 痔の原因は、便秘、下痢、運動不足などさまざまだが、そもそも病院に行くことすら恥ずかしい…という人も多いだろう。そんなあなたにまず読んでもらいたいのが『38万人を診た専門医が教える 自分で痔を治す方法』(平田雅彦/アチーブメント出版)である。肛門科医院の院長である著者によれば、患者さんの中には「もっと早く治療に来てくれればよかったのに」という人が多いのだとか。気になる最新の治療法は、手術よりもまず、“生活習慣の改善”によって治すことを試みるのだという。

■「切らなきゃ治らない」はウソ

 痔の治療といえば、「すぐに手術しなくてはならない」と思い込んでいる人もいるかもしれないが、必ずしもそうではない。なぜなら、手術によって患部を治したとしても、その痔を引き起こした生活習慣が改善されていなければ、いずれ再発してしまうからだ。著者が院長を務める病院では、痔核(いぼ痔)の手術率は12%ほど。基本的には手術に頼るのではなく、痔の原因となった生活習慣を改善し、自己治癒力を高めることで痔を治すのだという。

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 ここで勘違いしてはいけないのが“自分で痔を治す”というのは、“病院にいかなくてもいい”というわけではないということだ。同じような症状が出ていても「実はガンだった」ということもあり得る。まずは専門家に見てもらい、どんな治療・セルフケアが必要なのかを診断してもらおう。

■トイレにスマホや本を持ち込むのはNG!?

 私たちの細胞は、3カ月ですべて入れ替わる。著者によれば、生活習慣の改善を3カ月続けることができれば、自己治癒力の高い身体を手に入れられるという。本書では、痔の原因別にその具体的なノウハウを掲載。例えば、“便秘”が原因の場合は、次のような対策が有効である。

1.食物繊維を1日20gとる
2.水分を十分とる
3.腸内細胞を育てる
4.下剤に頼らない
5.最大の便意チャンスを逃さない
6.スルッと出る「ロダンのポーズ」
7.便意を我慢しない
8.トイレにスマホや本を持ち込まない
9.便が出たときの成功体験をイメージ

 6の「ロダンのポーズ」は、便が出やすくなる座り方だ。洋式トイレに座るとき、上体を直立させずに前傾姿勢をとり、肘を太ももに乗せてかかとを軽く上げる。そうすると、直立時には「く」の字になっている直腸と肛門が真っ直ぐになり、便が出やすくなる。トイレ中のスマホや本も注意が必要だという。長時間お腹に力が入ってしまうと、腹圧だけでなく血圧も高まり、肛門の血管に負担をかけてしまう。また、便が長時間付着すると、炎症の原因にもなる。

 自己治癒力で痔を治すためには、正しい診断を元に適切なケアを行い、それを長続きさせることが欠かせない。本書には、ケースごとの体験マンガや、生活習慣改善のポイント、気になる疑問に答えるQ&Aなどが収録されている。なかなか人には相談できないお尻の悩み。まずは本書でその基礎知識を身に着けてみては?

文=中川 凌