「私、カルト宗教にハマってました…」2世信者が明かす宗教の世界と洗脳が解けるまで

社会

2018/12/20

『カルト宗教信じてました。』(たもさん/彩図社)

 宗教は本来、人の心の拠り所となるもの。辛いことや悲しいことがあったとき、支えになってくれる宗教があると気持ちが楽になる。だが、そんな存在であるはずの宗教によって、逆に自由が奪われ、自分らしい生き方ができなくなってしまう場合もある。『カルト宗教信じてました。』(たもさん/彩図社)は、2世信者として生き抜いてきた著者の人生がまとめられた告発本だ。

 突然だが、みなさんはカルト宗教に対して、どんなイメージを持っているだろうか。見知らぬ人の家を訪れ熱心に布教活動を行う信者たちは、一般的に見れば、突拍子もない行動をしているように思えてしまうかもしれない。しかし、当事者たちは本気でその宗教が良いものであると信じている。本書には、普段目にすることのできない信者たちの内面が、コミカルなタッチで余すことなく記されているのだ。

 著者のたもさんは、10歳のとき母親に連れられ宗教に入信した2世信者。初めの頃は教えに対して「何かがおかしい」という疑問を抱いていた。しかし、会員たちはたもさんに教えを説き続け、学校で孤立してしまったときの居場所になってくれた。たもさんは次第に教えを信じ、布教活動を行うようになっていった。

 しかし、信者でい続けるためには諦めなければならないことも多かった。信仰心を優先すると進学や夢、交友関係に制限が現れてしまい、守れなければ他の信者から「排斥」されてしまう。排斥となった人には、たとえ家族であっても話しかけたり挨拶をしたりしてはいけないという厳しいルールが存在していることもあり、信者たちは「脱退」という選択肢を考えられなくなる。

 実際にたもさんも、1995年に起きた阪神・淡路大震災で、自身が信じている宗教に疑問を感じる出来事もあったが、結局信仰心を捨てることはできなかった。だが、35歳のとき、息子の病がきっかけとなり、遂に脱退を決意。同じような思いをしている方に自身の経験を参考にしてもらいたいと思い、この度、筆を執ったのだ。

 人が宗教に入信するのには、さまざまなルートがある。大人になってから理解と判断力を持って入信した人々や、親が信仰していたから気づいたら入信していた2世信者達。親が信仰ている宗教こそが全てであり、この世の真理だと教えられると、子どもはそれを盲信してしまうケースも少なくない。

 だが、その宗教を信じることで生きづらくなっていたり、自分の世界が狭くなったりしてはいないかということに目を向ける必要性を、本作は教えてくれる。

文=古川諭香