みんな悩んでる…夫婦間の「セックス問題」

社会

2018/12/31

『オトナの保健室 セックスと格闘する女たち』(朝日新聞「女子組」取材班/集英社)

 欧米において、セクハラや性的暴行の被害者となった女性たちが、SNSを通じて被害を告発する「#Me Too」運動がニュースで取り上げられ日本でも話題となった。性被害者はなかなか声を上げることができず、泣き寝入りせざるをえなかったが、時代が移り変わり少しずつではあるが声を上げる女性が増えてきているようだ。しかし、特に日本においては、いまだ女性が「性」について言及することは良しとされていない風潮がある。そんな女性たちの声を集めたのが『オトナの保健室 セックスと格闘する女たち』(集英社)だ。

 本書は、2015年に始まった朝日新聞夕刊の企画を再編集したもので、セックスレスや不倫、セクハラなどを赤裸々に綴った内容となっている。各界の著名人はもちろん、一般の人たちの声も多く寄せられているので、自分の立場に置き換えて読み進めることができるだろう。性について誰かに相談したくてもできない……という人には、ぜひ手にとってもらいたい本である。

 まず取り上げられているテーマが「セックスレス」。なんと、結婚している男女(16~49歳)のうち、1カ月間セックスレスという人の割合は47.2%にものぼるという(2016年に日本家族計画協会が実施した調査による)。既婚カップルの約半数という数字に驚きを隠せない。理由としては、「出産を機になんとなく」「面倒くさい」「疲れている」などさまざまだ。恋人時代はセックスをしていたのに、結婚をして子どもが生まれると「家族」になり、体を求めなくなったという人も多いようだ。

 しかし、夫婦のどちらかが「したくない」と思っても、もう一方が「したい」と思っているケースも少なくなく、欲求不満が募るのが問題となっている。特に、女性の場合、セックスをしたくても相手に言うことができず、一人悶々と悩む人が多いという。

ひらひらレースの下着も浴衣も試したけれど、夫は「おまえ変態か!」って
風呂上がりに素っ裸で夫のベッドにすべりこもうとしたら、はねのけられた

 思い切って自分から行動したのに、相手に拒絶されると精神的にまいってしまって二度と口にできなくなる。そんな夫婦生活がずっと続くと思うととても辛いだろう。一方、セックスをしたくないのに、夫に強要されて渋々応えているという女性が多いのも現実だ。ある女性は、専業主婦で経済的に自立できないことを負い目に感じ、夫に強く出られると断ることができないという。これは明らかに家庭内における強姦といえるだろう。

 このような夫婦間のセックス問題を解決するためには、まずは二人でしっかりと話し合うことが大切だ、というのは弁護士の南和行氏。同性愛者であることを公言している氏には、性の問題について相談に訪れる女性も多いという。南氏はセックスレスが決して悪いわけではないといい、大切なのは「お互いの気持ちの交換」だと諭す。セックスがない関係でも、日頃から感謝の言葉やスキンシップなどがあれば、気持ちが満たされる夫婦もいる。男性は「セックス=挿入」と考えている人が多いが、まずはお互いを大切に思いやることから始めてみてはどうだろう。相手が嫌がることを無理強いしない、優しい言葉をかける、キスやハグをするなど、小さなことでも二人の関係を深めていくことは十分に可能だ。

 次章では、日頃からの夫婦のスキンシップのなさが、不倫にも影響している可能性があると言及している。パートナーからセックスを拒まれて寂しくなり、外で肉体関係を持つという人も多いようだ。中には、妻から「外で肉体関係を持ってもOK」と伝えられている男性もいるという。しかし、このようなケースは稀で、不倫により傷つき離婚に至る夫婦は少なくない。子どもを産んで家族のために時間を費やしてきたのに、10年も前から夫が浮気していたと知ったときの無力感は想像を絶する。

 一方、本書では女性側だけでなく、男性側の意見も盛り込まれているところが興味深い。妻からセックスを拒まれて悩んでいる、セクハラについては女性にもっと「No」という声を上げてもらわないとわからないなど、男性ならではの意見を知ることも大切だろう。それらの意見に関してさらに非難が出るかもしれないが、そもそも生物学的に異なる男女なのだから、お互いが思いやり歩み寄っていくことが大切なのではないだろうか。

文=トキタリコ